13:15 〜 13:30
[1312] Ca(OH)2をカルシウム源としたホウ酸のハイドロキシアパタイトとの共沈による不動化機構
司会:大川浩一(秋田大学)
キーワード:ホウ酸、ハイドロキシアパタイト、共沈、表面錯体、トリボレート
Ca(OH)2をカルシウム源として、ホウ酸をハイドロキシアパタイトとの共沈により除去するときのメカニズムを速度論的および平衡論的に考察した。トリボレートが生成しない低濃度領域と、トリボレートがわずかにでも生成する高濃度領域とでは、不動化されたホウ酸のアパタイト中における配位状態が異なっていること、懸だく粒子のゼータ電位の変化も異なっていることから、両者ではホウ酸の除去機構は異なっていることが推定された。高濃度ホウ酸存在下では、未分解のCa(OH)2の表面に不安定なトリボレートが表面錯体の形成、解離、モノボレート化、アパタイトとの共沈という過程を経て不動化していると考えられる。ハイドロキシアパタイトの構造を保ったままホウ酸を取り込むことができる残渣中の最大モル比B/Caはおよそ0.4であった。それを超えるとハイドロキシアパタイトをXRD上でもTEM上でも確認できなかった。透過型電子顕微鏡観察から、ホウ酸を取り込むことによってハイト゛ロキシアハ゜タイトの粒子形状は、長い繊維状からショートロッド状に変化していった。ハイドロキシアパタイトを形成しないほどホウ酸濃度が高い場合には、XRD上にはあらわれない非晶質のおそらくカルシウムホウ酸塩がナノ粒子のハイドロキシアパタイトを被覆している様子が見られた。
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