一般社団法人資源・素材学会 平成28(2016)年度 春季大会

講演情報(2016年2月29日付)

一般講演

環境

2016年3月28日(月) 09:15 〜 15:15 第3会場 (東京大学)

司会:別所昌彦(秋田大学), 沖部奈緒子(九州大学), 大川浩一(秋田大学), 晴山渉(岩手大学)

13:15 〜 13:30

[1312] Ca(OH)2をカルシウム源としたホウ酸のハイドロキシアパタイトとの共沈による不動化機構

笹木圭子1, 利行謙汰1, 平島剛1 (1.九州大学大学院工学研究院)

司会:大川浩一(秋田大学)

キーワード:ホウ酸、ハイドロキシアパタイト、共沈、表面錯体、トリボレート

Ca(OH)2をカルシウム源として、ホウ酸をハイドロキシアパタイトとの共沈により除去するときのメカニズムを速度論的および平衡論的に考察した。トリボレートが生成しない低濃度領域と、トリボレートがわずかにでも生成する高濃度領域とでは、不動化されたホウ酸のアパタイト中における配位状態が異なっていること、懸だく粒子のゼータ電位の変化も異なっていることから、両者ではホウ酸の除去機構は異なっていることが推定された。高濃度ホウ酸存在下では、未分解のCa(OH)2の表面に不安定なトリボレートが表面錯体の形成、解離、モノボレート化、アパタイトとの共沈という過程を経て不動化していると考えられる。ハイドロキシアパタイトの構造を保ったままホウ酸を取り込むことができる残渣中の最大モル比B/Caはおよそ0.4であった。それを超えるとハイドロキシアパタイトをXRD上でもTEM上でも確認できなかった。透過型電子顕微鏡観察から、ホウ酸を取り込むことによってハイト゛ロキシアハ゜タイトの粒子形状は、長い繊維状からショートロッド状に変化していった。ハイドロキシアパタイトを形成しないほどホウ酸濃度が高い場合には、XRD上にはあらわれない非晶質のおそらくカルシウムホウ酸塩がナノ粒子のハイドロキシアパタイトを被覆している様子が見られた。

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