湿式素材プロセッシング

[1706] 高不純物銅アノードを用いた電解精製における電極間撹拌の効果

^○鈴木誉也¹, 川村茂¹, 芳賀一寿¹, 高崎康志², 柴山敦² (1.秋田大学大学院 工学資源学研究科, 2.秋田大学 国際資源学部)

司会:大石哲雄(産総研)

キーワード：電解精製, 不働態化, 銅イオン拡散, 高不純物粗銅

近年銅精鉱の品位低下に伴い、不純物含有量が増加してきている。また、金属資源の有効利用や自給率向上の観点から、銅製錬を用いた金属リサイクルのニーズは高い。金属リサイクル原料もまた高不純物含有原料であり、銅製錬工程における不純物の制御は困難な状況になっている。銅の電解精製工程では、陽極中不純物含有量の増加は不働態化の要因の一つである。したがって高不純物粗銅を使用することを想定した電解技術の開発は不可欠である。本研究では高不純物粗銅を用いた電解精製において、両極板間の電解液ならびに両極板表面のCu濃度を測定し、Cu濃度分布の基礎的な知見を得た。また、極板間に棒状の攪拌装置を取り付け、電解液を撹拌しながら電解精製実験を行った。これは陽極に対して垂直方向の液流を与えることによってCuイオンの拡散向上を狙いとしている。本研究の結果、アノードスライム中のCu濃度は電解液よりも約1割ほど高いことが分かった。また、高不純物粗銅を用いた撹拌電解実験において、11日間不働態化せずに電解精製を継続出来ることが見出された。