14:05 〜 14:35
[3311] 前近代日本の産銅量の変遷
司会:中西哲也(九州大学)
キーワード:産銅量, 江戸時代, 生産技術
明治日本の鉱業の近代化は、前近代の技術基盤の上に、西洋技術を移入して進められた。ここでは、鉱業政策と技術のレベルを表す一指標として、前近代の銅の生産量の国際比較を行う。江戸時代の日本の主要な4鉱山(足尾、別子、阿仁、尾去沢)の産銅量は、ある程度記録が残されている。中小の鉱山については、一部を除いて十分なデータは得られないが、断片的な記録から産銅の傾向を知ることができる。17世紀世界で最大の産銅量を記録していたのは、大銅山ファールンを持つスウェーデンであった。しかし、日本の産銅量と輸出銅量の数値をまとめると、 17世紀の後半に日本が世界の首座を占めるようになったことが読み取れる。18世前半、日本の銅輸出制限によって貨幣鋳造の原料不足に直面した中国(清国)は、雲南省の銅山を再開発した。その結果、中国の産銅量は急増し世界最大を記録する。一方、イギリスでは産業革命による近代化で、コーンウォールの産銅量が次第に増加していった。19世紀に入る頃にはイギリスの産銅量は中国を抜いて世界一となった。こうした産銅量の変遷を、鉱石と生産技術の関わりも考慮して報告する。
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