一般社団法人資源・素材学会 平成28(2016)年度 春季大会

講演情報(2016年2月29日付)

企画講演

Copper2016プレシンポジウム

2016年3月30日(水) 09:00 〜 16:35 第7会場 (東京大学)

司会:岩見幸二(三菱マテリアル), 武部博倫(愛媛大), 山口勉功(岩手大), 中野博昭(九州大)

09:15 〜 09:40

[3703] 銅精鉱品位に関する世界事情

片山弘行1 (1.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)

司会:岩見幸二(三菱マテリアル)

キーワード:銅精鉱

近年、日本に輸入される銅精鉱中の銅品位が低下傾向を示しており、国内製錬各社では、精鉱品位の低下による銅地金生産量の減少や製錬スラグの増加に懸念を抱いている。
統計資料から推定した輸入銅精鉱品位は、1990年代は日本企業のチリ・エスコンディーダ鉱山やロスペランブレス鉱山といった大規模高品位鉱山への積極投資により高品位精鉱が日本に供給されたことなどから上昇傾向となり、2001年の輸入精鉱品位は34%であった。しかし、同年以降精鉱品位は低下し、2015年の実績(1月~9月)では約27.9%となっている。日本の主要輸入相手国であるチリ、ペルー、豪州、カナダ、インドネシアから輸入される精鉱品位もここ10年は低下傾向にある。
2000年代からの金属価格の上昇局面では、低いカットオフ品位でも経済性が確保されることから粗鉱品位は低下傾向を示すが、概して精鉱品位は粗鉱品位と相関が高く、世界的にも精鉱品位は低下傾向を示している。
日本として、銅精鉱品位の低下に対処するためには、1990年代のような高品位精鉱の確保が有効であるが、鉱物学的研究に基づいた選鉱プロセスの更なる最適化など継続的な努力も必要と考えられる。

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