環境（2）

[PY-32] Snの金属錯体構造の制御を利用した置換型SnドープBi₂Te₃熱電変換合金ナノ粒子合成法開発の試み

○綱島 誠悟¹、横山 俊¹、高橋 英志¹、田路 和幸¹ (1. 東北大学)

キーワード：Snドープ、熱電材料、Bi2Te3、ナノ粒子、液相還元法

産業や日常生活で作り出される熱のうち89%は排熱として再利用されずに排出されている。そこで、この排熱の温度差を電気エネルギーに変換可能な熱電変換材料、特に300℃程度の熱に応答可能なBi₂Te₃系熱電変換材料、が注目されている。しかしながら、Bi₂Te₃の性能指数は実用化領域の値より低いため、ナノ構造化もしくはp/n型の付与により性能指数を向上させる研究開発が精力的に行われている。前者はBi₂Te₃の粒子径をナノレベルに低減することで粒子界面においてフォノン散乱を生じさせ熱伝導率を低下させる手法である。一方、後者はBi₂Te₃に異元素をドープすることでp型もしくはn型の特性を発現させる手法である。異元素を半導体材料にドープすると一般的にゼーベック係数は低下するが、Snのみはドープしても性能指数を維持可能であることが報告されている。そこで我々はBi₂Te₃にSnをドープさせることを目標とし研究開発を行った。その結果、原料水溶液中の金属錯体構造を制御することで、Bi₂Te₃とSnBi₄Te₇の混合体を合成可能であることを見出した。更に、このSnBi₄Te₇をSnドープBi₂Te₃に変化させることで間接的にSnドープBi₂Te₃の合成を達成するための反応機構の解明および合成条件の最適化を検討している。