高温素材プロセッシング（2）

[PY-80] マグネタイト固相の生成制御下におけるFeO_x-SiO₂系スラグ融体の粘度測定

○葛巻 星¹、武部 博倫¹ (1. 愛媛大学)

キーワード：銅スラグ、融体、粘度、酸素ポテンシャル

乾式銅製錬における自溶炉工程では, スラグ中へマットが取り込まれるスラグロスが問題となっている。マット/スラグ融体の相分離プロセスにおいて, 懸垂ロスにはストークス式より, スラグ融体の粘度が直接影響する。
スラグ融体の粘度にはスラグ組成及びマグネタイト固相の生成が影響する為, 懸垂ロス低減にはスラグ組成の最適化とスラグ融体中のマグネタイトの生成の制御が求められている。本研究ではスラグ融体中の酸素ポテンシャル (OP, Oxygen Potential)を測定することでマグネタイトの生成量を予測し, マグネタイトが及ぼす粘度への影響と粘度の組成依存性の調査を目的とした。
OP測定は自作の固体電解質酸素センサーを用い, 1523 K, Ar雰囲気下でアルミナるつぼと鉄るつぼにて銅スラグを溶融し行った。OPは, 鉄るつぼの場合約1.0×10^-11 (atm) であり、アルミナるつぼの場合約1.0×10^-4 (atm) であった。これらの値から熱力学データベースFactSageを用いて, スラグ融体中のマグネタイト品位を推測した。その結果, マグネタイト品位は, 鉄るつぼの場合2.6 (mass%)であったが, アルミナるつぼの場合30 (mass%) と高い値を示した。さらに, OPを制御した条件下でFe/SiO₂重量比を変化させた合成スラグ及び銅スラグ融体の粘度測定を行った。