湿式素材プロセッシング・新材料（3）

[3112-17-05] TPEN-[C_nmim][Tf₂N]を用いた塩酸水溶液からの貴金属元素の抽出挙動

○城間 梓¹、杉崎 祐真¹、新井 剛¹、鷹尾 康一朗²、鄭 誌偉² (1. 芝浦工業大学、2. 東工大先導原研)

司会:関本 英弘(岩手大学)

キーワード：イオン液体、TPEN、貴金属元素、溶媒抽出

少資源国である我が国では, 廃工業製品に含まれる貴金属元素の再資源化が求められている. 現在, 貴金属元素の分離・回収法として溶媒抽出法が挙げられる. しかし, 抽出剤の希釈に使用される有機溶媒は揮発性・引火性が高く安全性や環境汚染が懸念されている. これに対して, 近年有機溶媒に代わる低環境負荷な溶媒としてイオン液体が着目されている. イオン液体は不揮発性, 難燃性等の特徴を有し, 特定の抽出剤と組みあわせることで協同抽出効果の発現が確認されている. しかし, TPENとイオン液体による貴金属元素の抽出に関する研究報告は依然少ない. そこで本研究では, 含窒素多座配位子であるTPENと強疎水性イオン液体である[C_nmim][Tf₂N](n = 2，4，6)による塩酸水溶液からの貴金属元素の抽出・逆抽出挙動を検討した. 低塩酸濃度域において, TPEN-[C_nmim][Tf₂N]はPd(II)に対して高い抽出分率を示した. またTPEN-[C_nmim][Tf₂N]に抽出されたPd(II)とPt(IV)は, 抽出機構の違いから, 塩酸水溶液及びエチレンジアミンで容易に逆抽出可能であることが明らかとなった. 本会では, TPEN-[C_nmim][Tf₂N]による貴金属元素の抽出・逆抽出挙動を詳細に検討し, それらの結果から, 貴金属元素混合溶液からの分離試験を行ったので報告する.