14:00 〜 14:30
[3309-15-03] 繰り返し流体圧入時の石膏試験片におけるAE観察ならびに流体破砕
司会:陳 友晴(京都大学)
キーワード:流体破砕、繰り返し圧入、石膏
近年,低透水性岩盤からの資源開発を目的として流体破砕技術の利用が活発化している。流体圧入時に岩盤内の間隙水圧が上昇するため,圧入点近傍岩盤の破壊やき裂滑りが促進される可能性がある。したがって,地殻の工学的高度利用を環境に配慮しながら進めて行くためには,流体圧入時の岩盤内の変形破壊挙動に関する理解を深めることが必要不可欠と考えられる。そこで,本研究では比較的多孔質の石膏試験片を対象として,流体を繰り返し圧入した際のAE発生,流体破砕についての検討を行った。試験片には,石膏と水の配合比が10:4 ,6:4の 2通りのα型石膏を用いた。試験片の形状は100 mmの立方体であり,中心に直径20 mmのボアホールを設けた。応力条件は,(σx,σy,σz)=(11,10,10) MPaとした。圧入流体には粘度が9, 40, 134 cPの3種類の油を用い,体積流量50 ml/minで30 mlの油を5回圧入した後,600 ml/minの体積流量で30 mlの油をさらに5回圧入した。また試験片は,自然乾燥状態と完全水飽和の2種類を用いた。圧入時に発生する微小破壊振動音(AE)は,定格容量100 pF,共振周波数180 kHzの加速度センサーを試料上面に接する圧板のx軸側表面に取り付け測定した。試験の結果,流体圧入を行うことでボアホール内の流体圧が上昇するが,圧入した流体が石膏中の間隙に徐々に浸透していくため圧入を停止すると流体圧が減少することが観察された。より間隙率の大きい石膏試験片に対しては,圧入した流体が石膏中の間隙に浸透しやすいため流体圧の上昇幅が小さくなった。圧入流量を50 ml/minから600 ml/minに上昇させることで流体圧が上昇し,ブレークダウンが生じることを確認した。また,試験中に発生したAEを測定した結果,流体圧入の進展に伴いAEが発生することが観察された。AEは流体圧入を開始した時点から発生し,その後発生量が増加する傾向が見られた。また,このようなAE発生量の増加傾向はより間隙率の大きい石膏試験片において顕著であった。これは,圧入された流体が間隙中を浸透していく過程で,有効応力が減少し試験片内で微小な破壊が生じているためと考えられた。
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