環境

[2P0110-14-05] 酸化鉄(III)粉末添加による大気圧下でのスコロダイト合成

○軽部 友朗¹、飯塚 淳¹、柴田 悦郎¹ (1. 東北大学)

キーワード：スコロダイト、ヒ素、ヘマタイト、ゲル状前駆体

非鉄製錬の副生物に含有されるヒ素はその毒性のため、安定した固定化処理が必要となる。ヒ酸鉄化合物であるスコロダイトを合成することは安定性、ろ過性の観点からヒ素分離に適していると考えられる。現在、スコロダイトの合成にはオートクレーブを使用しない方法が求められており、酸化鉄(III)粉末添加法によって大気圧下、95℃での合成が行われた。この方法においては、As(V)およびFe(II)を含有した溶液に、鉄源として酸化鉄(III)(ヘマタイト)の粉末を添加することによりスコロダイトが合成された。その結果、As(V)は低濃度まで低下し、得られたスコロダイトは従来のものより粗大であった。また、溶液のFe(II)濃度が高いほど、より粗大なスコロダイトが得られた。スコロダイトの形成にはFe(II)濃度が大きな影響を及ぼすと考えられる。溶出試験の結果から、スコロダイト合成反応後における酸素ガスの吹き込みはヒ素の溶出防止に効果的であると言える。これは、酸素ガスによりゲル状前駆体がスコロダイトに変換されたことによるものであると推測される。また、Fe(II)濃度やpHが維持されることにより反応の停滞が起こらないため、処理廃液の循環利用も期待される。