[S-38-2] 自然免疫におけるエピゲノム変化と記憶
人体において記憶・学習が可能であるのは中枢神経系(脳神経)と免疫系のみである。自然選択や生物進化を遺伝子中心で理解する利己的遺伝子論は記憶に新しいが、「記憶」をもつが故に免疫が可塑性のある「脳」「⼼・啓(導く)」にも影響し生態系進化をとげるという利⼰的免疫論を提唱する。まず①免疫と脳の個体発生と系統発生を人類史とからめ、それぞれの「記憶」の役割、分化と文化、クローン選択と進化、その両面性と利⼰的免疫システムが脳の可塑性、神経細胞死を利用していることを示す。その際、②⾃然免疫の特異性のない記憶はエピゲノム変化に伴っており、獲得免疫と異なることの意味、③情動や記憶への免疫、特に自己抗体など液性因⼦への関与と病態解明、④実臨床で診断・治療に難渋する自己抗体が関連する脳症について記憶、情動を含めた脳の可塑性への利己的免疫システムによる影響の両面性の一端としてとらえ、今後の治療展望を明らかにする。
1974年3月 静岡大学理学部卒業
1977年11月 大阪大学大学院理学研究科生物化学専攻単位取得退学
(1980年12月 大阪大学 理学博士)
1977年11月 神戸大学理学部生物学科 助手
1982年6月 理化学研究所分子遺伝学研究室 研究員
(1983年8月~1985年10月 米国NIH, NCI, Visiting Fellow)
1987年8月 同上 副主任研究員
1989年5月 同上 主任研究員
(1992年4月~現在 筑波大学連携大学院教授)
2012年4月 同上 上席研究員
2014年12月 理化学研究所 副理事
(2018年4月~現在 理化学研究所・開拓研究本部・副本部長兼務)
抄録パスワード認証
パスワードは抄録集・参加証に記載してあります。