[S-49-1] New era for Integrated Bio-metal Science (IBmS)
鉄、銅、亜鉛などの金属元素は、生体内において、ごく微量しか存在しないものの、その吸収・輸送・活用といった生体内動態は、適正に制御されており、その破綻は疾病の原因となる。脳の神経細胞・グリア細胞などにおいても、これらの機能維持に関わる生命金属はタンパク質・酵素の構造や機能の維持、細胞内外の恒常性の維持などに極めて重要で、その破綻は神経細胞死や老化の原因につながる。しかし、生命金属が生命機能に果たす役割があまりに重要、広範であるがゆえに、分子レベルでの解明が立ち遅れていた。近年、分子生物学的手法、特異的金属プローブの開発、トランスミッターの解明が急速に進んだ。これまで研究成果をreviewし、今後の展開を解説することで、脳内の生命金属の役割、重要性がわかりやすく理解でき、病態解明が進み、創薬開発への新たな道が開ける。学会が金属イオンと神経疾患との関連性に注目し続けることに大きな意義がある。
1991年東京大学工学部工業化学科卒(三浦謹一郎教授)、1995年同大学院工学系研究科化学生命工学専攻博士課程中途退学(渡辺公綱教授)。1997年博士(工学)取得(東京大学)。1995年東北大学大学院工学研究科助手(熊谷泉教授)。講師、助教授を経て2005年に東京大学大学院新領域創成科学研究科准教授。2010年より東京大学医科学研究所疾患プロテオミクスラボラトリー教授(現在に至る)、2013年より工学系研究科教授(現在に至る)。2016年より国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所招へいプロジェクトリーダー(最適化支援)を兼務,2019年より創薬デザイン研究センター副センター長(現在に至る)。2018年より東大工学系医工学RSセンター長兼務,2019年度総長補佐。
主な受賞:2002年日本生化学会奨励賞,2012年日本学術振興会賞,平成25年・令和元年 JB論文賞等。
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