○柚﨑 通介1 (1. 慶應義塾大学医学部 神経生理学)
セッション情報
ランチョンセミナー
[2LS03] シナプスを分子基盤から読み解き操作する
2023年8月2日(水) 11:55 〜 12:45 第3会場 (萩)
司会:小倉 忠克(株式会社ニコンソリューションズ)
共催:株式会社ニコンソリューションズ
脳を構成する神経回路は、神経細胞と神経細胞がシナプスによって結合することによってその機能を発揮する。シナプスは発達期に形成されるのみでなく、環境の変化や学習によって生涯にわたって形成・改変される。シナプスの可塑的な変化こそが記憶・学習の実体であり、統合失調症や自閉スペクトラム症など多くの精神疾患や発達障害の原因となることが分かってきている。かつてファインマンは「創造できないことは理解できない(What I cannot create, I do not understand)」と述べた。私たちは、シナプスの機能的・構造的な可塑性を担う分子基盤を明らかにし、さらにそれを人為的に操作してシナプス可塑性を操作することによって脳の作動原理を明らかにし、さらに精神・神経疾患に対する新しい治療戦略の創出を目指している。今回は、機能的なシナプス可塑性モデルである興奮性神経伝達が長期間増強ないし抑圧される現象、Long-term potentiation (LTP)とLong-term depression (LTD)に対する私たちの光遺伝学的アプローチについてまず紹介する。さらに構造的シナプス可塑性を支えるシナプス形成分子についての研究成果とその応用方法について、特にシナプス分子のナノレベルでの局在を精細に観察することの重要さに重点を置いてお話したい。
○大川 潤也1 (1. 株式会社 ニコン)