ごあいさつ
第4回東京学芸大学次世代教育研究推進機構
Webシンポジウム開催にあたって

東京学芸大学副学長
新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらないなか、学校現場では、その対応に日々追われていらっしゃると思います。誰もが予想できなかった突然の事態ですが、私たちはそれでもやはり、いろいろな取組を重ねつつ力を合わせ、苦難や困難を乗り越えていこうとしています。また、このような苦しい時間が重なれば重なるほど、けれども新しい時代や社会の礎を築くことにもつながっているのだ、ということを私たちは信じたいとも思います。
このような意味で、学校現場において、そもそもの近年の社会変化も背景とした「ニューノーマル」と呼ばれる、新しい日常が訪れる転換期を今、迎えているのだと感じています。「ニューノーマル」という言葉は、そもそも、2008年前後に起こった「リーマンショック」という、経済危機の時に主に経済界で使われた言葉である、と言われます。危機の後に元に戻るだろう、といういわば楽観論に警笛を鳴らしたのがこの言葉です。けれども、私たちの世界は、危機が新しい時代を拓く、逆にきっかけとなったということも多くあります。このような意味で、「ニューノーマル」という言葉は、コロナ危機とはまた別に課題となっていた、「Society5.0」という社会の未来像に応じた教育の変革を、学校現場においては示すものにもなるのだと思います。また、このように新しい時代を築くために、自らが変わっていくことも、教育や学校の本来の性質なのではないかとも思います。
他方で現在の学校は、一方で働き方改革が喫緊の課題となるなど、そもそもの先生方のwell-beingや、連なって子どもたちのwell-beingを実現することにおいても、多くの課題を抱えています。このような状況において、私たち「教師」は自らどのように考え、行動すればいいのでしょうか。迷いもあります。でも、可能性も拓かれているとも言えます。
このような教育の変革期にあって、東京学芸大学はOECDと共同研究を2015年から6年間行ってきました。そこで、東日本大震災を機にOECDの協力のもとに組織されたISN(日本イノベーション教育ネットワーク/旧名称)とも連携して、これからの「教師」のあり方をまさに自分自身の問題として、子どもたちとともにそして教師以外の方々ともご一緒になって、考えたり、つながりを確認し合ったり、新たに創りだしたりするきっかけをつくることを企画しました。OECD本部からのメッセージに始まり、スモールグループの中で、中学生・高校生自身の声から「ニューノーマル」時代のキーワードになるであろう「コンピテンシー」という言葉を再考し、これから教師になろうとする大学生や大学院生の準備されたファシリテートの中で、「教師」としての自分自身が、交わったり、感じたり、考えたりするということが広がっていくことを意図したフォーラムです。
日本中の先生方、子どもたち、大学生や大学院生、そして多様な教育関係者の方々にご参加いただければ大変幸いです。お申し込みのクリックをしていただけることを心よりお待ちしております。どうぞよろしくお願い申し上げます。