第76回国立病院総合医学会

セッション情報

シンポジウム

看護企画

[SY13] シンポジウム13
政策医療におけるACP

2022年10月7日(金) 14:00 〜 15:30 第11会場 (熊本市民会館 2F大会議室)

座長 : 門岡 康弘(熊本大学大学院生命科学研究部 生命倫理学講座 教授)、土井 晴代(NHO 福岡東医療センター 看護部 看護師長 がん看護専門看護師)

ACPとは、将来の意思決定能力の低下や緊急時での意思の提示など、事前に今後の治療やケアや生活について、本人や家族、関係者と話し合いを行うプロセスである。社会的に、高齢化や認知症などにより判断能力が不十分な人が増加するとともに、単身世帯や頼れる親族がいない人も増えているなか、医療現場においてACPが普及してきている実感はまだない。厚生労働省は「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」を策定したが、ガイドラインをもとに各医療機関にあったマニュアルの作成が求められている。ガイドラインのポイントとして①判断能力の程度や家族関係にかかわらず本人の意思・意向を確認し尊重する②身元保証がない人の対応を明確にする③成年後見人などに期待される具体的な役割を明記する。の3点がある。当院においても、家族に連絡が取れなくなり行政に連絡して患者の治療に関して意思決定する人を探したり、事前の本人の意思確認ができていないまま気管切開や人工呼吸器装着に至るケースも発生しており、今後も身寄りがない人が増えたり、認知症等で意思決定困難な事例が発生してくることが予想される。医療・福祉・行政などで、意思決定支援に対する取り組みや、困難に感じること、うまくいった事例等を共有する。