日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[A] 防除(物理的・化学的・その他)

2024年3月29日(金) 09:00 〜 11:30 A会場 (橘)

09:45 〜 10:00

[A-04] アセチル化グリセリドによるチャノミドリヒメヨコバイの行動制御

◯萬屋 宏1 (1. 農研機構 植物防疫研究部門 金谷茶業研究拠点)

チャノミドリヒメヨコバイは、チャ新芽を吸汁加害し収量と製茶品質に悪影響を及ぼすことから茶の重要害虫である。アセチル化グリセリド(以下AG剤)は、日本・米国・欧州等で食品添加物として認可・利用されている物質で、チャノミドリヒメヨコバイに防除効果があり、現在、商品名ベミデタッチRで農薬登録されている。AG剤は、コナジラミ類において行動制御をし(忌避、吸汁阻害、交尾阻害)、防除効果を示すと報告されている。そこで、チャノミドリヒメヨコバイに対するAG剤の行動制御に関する検証を行った。まず、飼育実験で忌避効果を検証した。その結果、AG剤を散布したチャ苗では寄生数や口針数が無処理苗の半分程度にまで減少し、忌避(定着阻害)効果があることが示唆された。次に吸汁行動を直接的に観測できるDC EPGシステムを用いて、AG剤を散布したチャ苗と無処理苗で吸汁行動の差異を検証した。その結果、AG剤を散布しても吸汁行動に差が無いことがわかった。AG剤によるチャノミドリヒメヨコバイの行動制御は主に忌避(定着阻害)効果によるものと考えられる。今後は、交尾交信の阻害効果についても検証する予定である。本研究は生研支援センター「戦略的スマート農業技術等の開発・改良」(JPJ011397)の支援を受けて行った。