日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[B] 分類・形態・組織

2024年3月29日(金) 13:30 〜 18:00 B会場 (萩)

14:30 〜 14:45

[B-15] シジュウカラとコムクドリの巣から得られたHaploglossa属とHylota属(甲虫目:ハネカクシ科)の分類と生態

◯田作 勇人1、竹中 万紀子1、松井 晋1、丸山 宗利2 (1. 東海大・生物、2. 九大博)

鳥の巣は様々な昆虫の生息場所となっていることが古くから知られており、これらには鳥の巣のみに依存して繁殖する種と他の場所でも繁殖できる種が含まれる。鳥の巣を利用する種の研究が盛んに行われてきた蛾類では、ケラチン食性の種は鳥の巣に依存することが示唆されるなど、食性が依存度の尺度に用いられることが多かった。今回研究対象としたヒゲブトハネカクシ亜科ゴミハネカクシ族OxypodiniのHaploglossa属とHylota属も鳥の巣への選好性が指摘されているグループである。しかし、食性などの生態的知見はほとんどなかった。演者らは、北海道においてシジュウカラとコムクドリの巣からHaploglossa属を2種、Hylota属を1種採集した。これらを検討した結果、前者は未記載種である可能性が高く、後者は日本未記録種であることが判明した。また、これらの成虫と幼虫を飼育観察したところ、Haploglossa属の一種で羽や羽鞘(鳥類の羽が伸長する過程で羽を覆っている鞘)を食べるケラチン食性であることが確認された。種ごとに多様な食性をもつ本亜科でも、ケラチン食は初めての記録となる。また、鳥の巣を利用する昆虫について、食性だけでなく生活史形質における鳥の巣への依存度を検証する必要がある。