日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[C] 害虫管理・IPM(畑・果樹)

2024年3月29日(金) 13:30 〜 17:00 C会場 (白橿1)

15:30 〜 15:45

[C-18] 福島県のモモ栽培におけるウメシロカイガラムシとクワシロカイガラムシの同時防除の検討

◯中村 傑1、髙橋 佳大1、中村 淳1 (1. 福島県農業総合センター果樹研究所)

福島県県北地域では、ウメシロカイガラムシ(以下、ウメシロ)とクワシロカイガラムシ(以下、クワシロ)が混発している。行成(1989)によるとクワシロの第1世代歩行幼虫の発生ピークは、ウメシロより6日程度遅く、両種の防除時期が異なる。しかし、両種は形態が似ており、農家がほ場で発生種を特定することは困難である。そこで、ブプロフェジン水和剤、スルホキサフロル水和剤、スピロテトラマト水和剤をウメシロの防除適期を想定して散布し、クワシロとの同時防除が可能であるか検討した。試験は、2023年に福島市の果樹研究所内のモモほ場で実施し、試験区及び無処理区は1区1樹3反復とした。試験区の供試薬剤は5月2日に散布し、薬液風乾後、ウメシロ(福島市飯坂町個体群)150卵程度を3新梢にそれぞれ放虫し、5月15日にクワシロ(福島市飯坂町個体群)の卵を同様に放虫し、7月21日に全ての新梢を切り取り、雌成虫を計数した。その結果、全ての供試薬剤で両種に対して効果が認められた。このことから、ウメシロの防除適期に今回用いた供試薬剤のいずれかを散布することで両種を同時防除できることが示唆された。なお、本研究は「令和5年度植物検疫場の要求事項を満たすための体制の構築委託事業(輸出検疫に資する調査等)」で実施した。