日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

口頭発表

[G] 環境・多様性・保全

2024年3月30日(土) 09:00 〜 10:30 G会場 (小会議室8)

09:45 〜 10:00

[G-19] 種感受性分布(SSD)を活用した水田の水生昆虫群集に対する育苗箱処理剤の生態リスク評価Ⅱー新規ウンカ防除トリフルメゾピリムを中心にー

◯本林 隆1、馬場 海帆1、日鷹 一雅2 (1. 東京農工大・農、2. 愛媛大学院・農)

わが国の水田では、ネオニコチノイド系薬剤をはじめとする浸透移行性を有する育苗箱処理剤が広く使用されてきたが、近年、ウンカ類などでの薬剤抵抗性の発達から新規薬剤への移行が進んでいる。しかし、水田に生息する標的外の生物も含めた生物群集に対するこれらの薬剤の生態リスクに関して十分に評価されているとは言えない。そこで演者らは、個別の生物に対する薬剤の急性毒性データを基に生物群集に対する影響を推定できる種感受性分布(SSD)を活用し、水田の生物群集に対する各種育苗箱処理剤の生態リスク評価を行うプロジェクトを進めている。今回は西日本で広く普及しつつあるウンカ類新規薬剤のトリフルメゾピリムに着目し、水生昆虫類数種の実験データに、さらには既報のデータも加えてSSDを作成した。作成には永井(2016)が公開している解析ツールを用いた。本報告では、今回作成したトリフルメゾピリムのSSD曲線と、これまでに得られているネオニコチノイド系薬剤などのSSD曲線との比較検討、リスク評価を行うことによって、IBMに向けての基礎的な知見について報告する。