[PG01-20] タバココナジラミ菌細胞のex vivo培養系の確立
多くの吸汁性農業害虫は、体内に共生細菌が棲む特殊な肥大化した菌細胞を持つ。宿主昆虫と必須共生細菌は、互いに不足する栄養素を補い合い、このやり取りは両者にとって生存や繁殖に不可欠なシステムとなっている。そのため、その分子機能を解析することは生物学のみならず、新規害虫防除ターゲット探索の側面から農学分野でも注目されている。しかし、ほとんどの共生細菌は単独培養することはできず、またその特殊性ゆえに菌細胞共生系で使用できる効果的な解析技術が不足しているため、菌細胞共生系の分子機構の多くは未解明である。本供試昆虫であるタバココナジラミは、世界中で様々な農作物に多大な経済的損害を与える吸汁性農業害虫の一つである。タバココナジラミの持つ菌細胞は、他の昆虫のものよりサイズが比較的大きく、また成虫期にも分裂を続ける特徴を持つため、共生系の機能解析を行う上で適した材料である。本研究では、効率的な共生関連遺伝子の機能解析手法を開発する一環として、タバココナジラミ菌細胞を長期間安定的に維持できるex vivo培養系の確立を試みたので報告する。