[PG01] ポスター発表（一般A：コアタイム２)

[PG01-30] 女王シグナルに対する社会的制裁機構の応答時間

Moe Nakayama², ◯Tomonori Kikuchi¹ (1. Chiba Univ, 2. Chiba Univ. Fac. of Sci.)

社会的制裁機構であるワーカーポリシングは、女王存在下では下位個体による利己的産卵ワーカーへの物理的制裁を通じて繁殖分業の維持に寄与する一方、女王不在の孤児コロニーでは消失する。このことは、ワーカーポリシングが女王存在情報（女王シグナル）に応答して発現が制御されている事を示唆している。事実、孤児コロニーではワーカー間の繁殖闘争が多くの種で確認されている。しかし、状態依存的なワーカーポリシングの発現パターンの研究はあるものの、女王シグナルに対するワーカーポリシングの応答時間については明らかになっていない。特に、難揮発性の女王シグナルの場合、ワーカーへの伝達効率が低下しやすく、女王存在下でもワーカーが誤って不在と認識し繁殖を開始してしまう。そのため、女王シグナルに対するワーカーポリシングの応答時間が、ワーカー繁殖行動の応答時間よりも長いことが利己的産卵抑制において肝要となる。これを検証するために、南西諸島に生息するトゲオオハリアリを材料に、女王に対するワーカーポリシングの応答時間を調査し、繁殖分業の安定性について議論する。