[PG01-44] GISを用いた土地利用データに基づく建物侵入害虫の分布域の分析
ハエ目などの飛翔性の昆虫のうち光源に誘引されるものは、工場等の建物に侵入し製品への異物混入の原因となることがある。その対策として近年は予察・予防に重点を置いたIPM(総合的有害生物管理)に基づく防除体系が求められており、それに資するモニタリング手法や、建築・運用計画段階からの予防的措置のニーズが高まっている。一方、GIS(地理情報システム)は技術の発達によって空間的な環境情報がより高精細に取得・分析できるようになり、土地利用に紐づく生物の分布や動態を説明する有用な手段と位置づけられるようになってきた。本研究では、ライトトラップを用いた飛翔性昆虫の捕集調査とGISによる分析をもとに、昆虫の建物への飛来可能性を定量的に評価することを試みた。回帰分析を用いて、観測された捕集個体数の変動を調査地点周辺の土地利用の構成と関連付けて検討し、得られた回帰モデルをもとに捕集数を推定した。その結果、最も観測頻度が高かったユスリカ科については、半径500m圏内の土地利用面積割合、特に水田の割合が捕集数の変動に影響することが示唆された。