日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PG01] ポスター発表(一般A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(一般) (桜)

[PG01-46] 生物多様性モニタリングに深層学習は有用か?-精度と学習コストの検証

◯平岩 将良1、石若 直人2、秋山 大樹1、太田 貴生斗1、早坂 大亮1 (1. 近畿大・農、2. 近畿大院・農)

世界的に進行する生物多様性の減少を防ぐためには、モニタリングを継続的に行い、生態系に生じた異常を早期発見し、保全策を講じることが重要である。近年、深層学習(deep learning)による物体検出技術が発展し、画像中の生物の種同定・計数手法の開発が進みつつある。本手法はモニタリングの省力化に有用である一方で、実環境に適用した場合の精度や学習にかかるコスト(必要な画像枚数や時間)などについての情報は少なく、普及の障壁となっている。そこで本研究では、多様な分類群の種から構成される水田生物群集に対して、深層学習を用いた生物の自動計数手法を開発し、個体数の推定精度や学習にかかるコストの検証を行った。近畿大学農学部の実験圃場に水田メソコズム(人工生態系)を16基設置し、2022年6月から10月にかけ、週1回の頻度で生物調査を実施した。調査では稚魚ネットに入った生物をバットに移し、写真を撮影した。その後、写真中の水生昆虫や貝類などの個体数を目視と深層学習により計数した。その結果、両者は高い相関を示し、水田生物群集のモニタリングに対して深層学習が十分な精度をもつことが示された。本発表では、精度と学習コストの結果をあわせて、深層学習を用いた生物多様性モニタリングの有用性について議論を行う。