[PG01-54] リュウキュウツヤハナムグリの小楯板の構造色
リュウキュウツヤハナムグリ(Protaetia pryeri oschimana)は奄美諸島に分布する甲虫である。近年この種は東京湾周辺に侵入・定着しており、さらに千葉に分布を広げている。この種には緑色、茶色、黒色の3種類の個体があり、非常に特徴的な金属光沢を持っている。この金属光沢は個体表面の微細構造由来であり、構造色と呼ばれる。今回、落射型偏光顕微鏡(Nikon Optiphoto2)と小型紫外可視光分光器(Ocean Insight社製FLAME-T)を 組み合わせ、この構造色の分光分析を行った。試料には小楯板を用いた。その結果、①小楯板には6角形の構造が存在すること、②その各6角構造の反射は単一ではないこと、③緑個体においては、緑と黄色の、茶個体では黄色と赤の6角構造があること、④特に茶個体では600~780nmnの広い範囲での複数の反射ピークが得られたことがわかった。緑、茶個体の識別のために可視光スペクトルを色度図上にプロットしたが、予想外に両色個体は色度図上で近接しており、色度図で両者を区別することは適当ではないと判断した。輝度を縦軸として3次元プロットでは、緑個体と茶個体の判別は容易であり、判別ファクターとして輝度が有効である可能性が高い。