日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS01-08] 昆虫の尾角は真の付属肢か?
―フタホシコオロギを用いた再検討―

◯松下 詠太郎1、大出 高弘1 (1. 京大・農)

昆虫の体節には1対の付属肢がある。大顎や歩脚をはじめとして、昆虫は付属肢の構造や機能を多様化させることで様々な環境に適応してきた。一般にこれらは同一の発生的起源を持ち、互いに転換可能な系列相同物であると考えられている。従来、昆虫の腹部末端に形成される尾角も付属肢の系列相同物だとみなされてきた。しかし我々は、偶然にも、フタホシコオロギの尾角の形成に機能する独自の上流因子を発見した。この発見は、他の付属肢と尾角の発生機構が上流から異なることを示すため、尾角を付属肢として扱うことには再検討の余地があると考えられる。
この仮説を検証するため、CRISPR-Cas9を用いて2種のHox遺伝子のノックアウトを行うことにより、フタホシコオロギにおける尾角の付属肢への転換可能性を調査した。これらの結果をもとに、発生的起源と転換可能性の観点から尾角を付属肢の系列相同物とみなすことの妥当性について議論する。