The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

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[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

Fri. Mar 29, 2024 12:30 PM - 1:30 PM Sakura (Student) (Sakura)

[PS01-10] 夜間人工光がショウジョウバエの幼虫の発生とオスの生殖能力に与える影響

◯Ryushin Takamoto1, Yuma Takahashi2 (1. Chiba Univ・Science, 2. Chiba Grad Univ・Science)

近年、急速に進行する都市化に関連したストレスの増大が、生物の衰退や絶滅を促しているともいわれている。一方で、ヒトを始めとする哺乳類では都市ストレスによる精子の質の低下や不妊症リスクの増大について数多くの報告があるものの、都市ストレスが昆虫類のオスの生殖能力に与える影響についての研究はあまり進んでいない。夜間人口光の増大は、都市化に関連した主要な公害のひとつである。最近ではLEDの普及により、光の質にも大きな変化が起きている。そこで本研究では、都市と郊外に広く生息しているオウトウショウジョウバエを用い、異なる波長の夜間光がオスの形態や生殖能力に与える影響を調べることを目的とした。微弱な白色光あるいは赤色か緑色、青色の単波長光を夜間に照射する環境で幼虫を飼育し、各条件で得られたオス成虫について精子の頭部サイズと羽化日数、体サイズを測定したところ、夜間に光がない状況と比較して赤色光と青色光条件下で精子頭部が短くなった。また、赤色光条件下では羽化日数が延びていた。翅の面積と胸部サイズも赤色光条件下で大きくなる傾向にあった。これらの結果は夜間光が本種の発生や生殖に多様な影響を与えることを示すとともに、赤色光がもっとも大きな影響を与えるということを示唆している。