日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS01-14] どのような配列の変化がミズタマショウジョウバエに模様をもたらしたのか?

◯柄澤 匠1、越川 滋行1,2 (1. 北大院環境科学、2. 北大院地球環境)

昆虫のユニークな形態は、多様な形質が進化するメカニズムを解明するための題材として用いられてきた。その中で、遺伝子のco-option(転用)が重要な働きをすることが知られてきたが、転用をもたらす塩基配列レベルのメカニズムは未解明である。
ミズタマショウジョウバエは翅に水玉模様を持ち、この模様はwingless遺伝子(wg)の転用がもたらしたことがわかっている。翅に模様がないキイロショウジョウバエの蛹の翅では横脈でしか発現しないwgが、ミズタマショウジョウバエでは模様が形成される横脈、縦脈末端、鐘状感覚子の位置で発現し、模様を誘導する。ミズタマショウジョウバエの横脈と縦脈末端でwgを発現させるcis制御領域(gutCVT-core)は、横脈のみで発現を促進する祖先的なcis制御領域の配列の変化によって獲得された。しかし、縦脈末端での発現をもたらした配列の変化は特定されていない。
この研究では、縦脈末端での発現の獲得の際に起きた、具体的な配列の変化を調べるために、gutCVT-coreとヒメホシショウジョウバエという近縁種の相同領域を比較し、2種間で異なる配列を絞り込み、GFPレポーターアッセイによって縦脈末端での発現に必要な配列を特定した。また、それらの配列の変化の影響を考察する。