The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

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[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

Fri. Mar 29, 2024 12:30 PM - 1:30 PM Sakura (Student) (Sakura)

[PS01-32] 線虫胎生化の進化的駆動力解明に向けた糞虫便乗線虫の生活史調査

◯Yuya Ikeda1, Ryoji Shinya1 (1. Meiji University)

一般に線虫は卵生の繁殖様式を有するが、Rhabditina亜目に属する2属6種の線虫は例外的に胎生であることが示唆されている。このうち5種はエンマコガネ属糞虫に便乗することが知られており、線虫の胎生化は糞虫生息環境への適応に関連している可能性がある。しかし、糞虫に便乗する線虫の生息環境を明らかにする試みは殆ど行われておらず、糞虫便乗時以外の胎生線虫の動態に関しては不明な点が多い。本研究では、演者らのグループが先行研究において発見した糞虫便乗性線虫Tokorhabditis atripennisの糞虫生息環境での動態を明らかにすることを目的に、黒土と牛糞を入れた自作の薄型ケースに、野外から採集したコブマルエンマコガネ1ペアずつ入れ、糞虫便乗性線虫の生息環境の再現を試みた。また、設置後2週間および4週間経過したケースを解体し、牛糞、糞虫が掘ったトンネル周辺の土、糞球、それ以外の土壌を回収した。この各サンプルから線虫を分離し卵生種を含む全ての線虫頭数を計数した結果、糞虫便乗性線虫は糞虫との接触があった環境、特に地表の牛糞に局在し、土壌からは殆ど確認できなかった。この結果は、糞虫便乗性線虫が糞虫の営巣環境に生息し、糞虫に便乗することで安定的にそうした環境に移動していることを示唆する。