日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS01-40] コアオハナムグリによるソバの花の利用実態

◯伊藤 孝輔1、永野 裕大2、横井 智之1、宮下 直2 (1. 筑波大学・保全生態、2. 東京大学・農)

ソバは自家不和合性の虫媒花であり、ハナバチやアリなどがポリネーターと知られている。ソバにはその他の昆虫も多く訪花する。コアオハナムグリ(以下コアオ)も主要な訪花昆虫の一つであり、ソバの花粉や花蜜を摂食する。その際、体表に花粉が付着することが確認されている。そのため、ソバの送受粉に関わる可能性があるが、その実態は知られていない。また、雌雄でソバの訪花に違いがあるか、どの程度花粉媒介に関与しているか等は不明である。そこで、2023年、長野県飯島町において、夏ソバおよび秋ソバを対象に野外調査を実施した。まず、ソバに訪花したコアオの性比を調査したところ、午前、午後ともに訪花個体の性比はほぼ1:1だった。続いて、コアオのソバへの訪花個体数に関わる要因としてソバの開花数、時間帯、気温、風速との関係を検証した。ソバ畑内に区画を設け、その区画内の訪花個体数と株あたりの開花数を計数し、気象条件は気象庁のデータベースを基に確認した。その結果、夏ソバ、秋ソバの両方でコアオの訪花個体数はソバの開花数と強い関連があった。以上より、季節を問わずソバの開花数が増えるに従ってコアオの個体数は増加していることが示唆された。