日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

2024年3月29日(金) 12:30 〜 13:30 桜(学生) (桜)

[PS01-44] カブリダニの共食いは過大評価?

◯道浦 真明1、矢野 修一1 (1. 京大院・農・生態情報)

同栄養段階内のギルド内捕食や同種内の共食いは多くの種で報告されている。ハダニを捕食するカブリダニでもギルド内捕食と共食いの研究ジャンルが確立されているが、先行研究のほとんどの観察は、分散できない閉鎖環境下でカブリダニ以外の餌を与えずに行われている。ハダニの広食性捕食者であるコウズケカブリダニは、閉鎖環境下で頻繁に雌成虫が幼虫を共食いする。このカブリダニを材料として、24時間絶食させた雌成虫の餌として1)同種幼虫(共食い)のみ(分散不可)、2)同種幼虫とナミハダニ幼虫(分散不可)、3)同種幼虫(分散可)、 4) 同種幼虫とナミハダニ幼虫(分散可)を与え、3時間後に共食いが起きた頻度を比べた。その結果、本来の餌であるハダニがいることと、カブリダニが分散できることで共食いが減ることが分かった。両要因の交互作用は有意ではなかった。ハダニを捕食したカブリダニは、分散できない状況では共食いし、分散できる状況では分散することが観察された。以上より分散機会がない状況で他の餌を与えずに観察された従来のカブリダニの共食いのデータは過大評価されていると考えられる。