[PS01-52] データベース上の画像を用いた後肢振り上げ行動を示す日本産コガネムシ科昆虫の探索
コガネムシ科には、後肢を振り上げた状態で静止する後肢振り上げ行動を示す種と示さない種がある。ハナムグリ亜科の一部の種では、この行動が接触刺激により解発され、スズメバチ類との闘争に役立つことが知られている。しかし、この行動の解発因や適応的意義はほとんどの種で解明されておらず、後肢振り上げ行動を示す種と示さない種の整理も十分でない。本研究では、日本産コガネムシ科昆虫を対象にGBIFに登録された生体の画像を収集し、後肢振り上げ行動を示す個体の画像の有無を調査した。ハナムグリ亜科では後肢振り上げ行動を示す個体の画像がなかったのに対し、スジコガネ亜科では少なくとも4種で後肢振り上げ行動を示す個体の画像が認められた。ほとんどの場合、写真撮影時に被写体となる個体が接触刺激を受けていたとは考え難い。したがって、本調査で後肢振り上げ行動を確認した種では、この行動の解発因が接触刺激でない可能性が高いと考えられた。