The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

Presentation information

Poster Presentation

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

Fri. Mar 29, 2024 12:30 PM - 1:30 PM Sakura (Student) (Sakura)

[PS01-54] 外来植物の利用が絶滅危惧種クロツバメシジミの翅色と配偶行動に与える影響

◯Hisai Karen1, Yago Masaya3, Ueda shohei2, Hirai Norio2 (1. Osaka Prefecture Univ., 2. Osaka Metropolitan Univ., 3. Tokyo Univ.)

クロツバメシジミTongeia fischeriは、岩場や河川敷に生息するが、開発などによって生息地が減少し、環境省の準絶滅危惧に選定されている。本種の幼虫は、主に在来のツメレンゲを利用するが、近年、外来のマンネングサ属の利用が各地で確認されている。本研究では、本種幼虫を異なる寄主植物で飼育し、得られた成虫の翅の色彩を比較するとともに、外来植物の利用にともなう配偶行動や生活史同調への影響を検証した。
2023年に長野県北部で採集した雌成虫にツメレンゲ、ツルマンネングサを提示したところ両寄主植物に良好に産卵した。得られた幼虫をいずれかの植物で25℃16L-8Dの条件下で飼育し、成虫の後翅裏面の反射スペクトルについて分光光度計を用いて測定したところ、特に紫外域の反射に寄主植物による違いが見られた。次に、各寄主植物で飼育した成虫の標本モデルを用いて、野外雄の反応を観察したところ、ツメレンゲモデルには強い関心を示し、交尾試行が見られたのに対し、ツルマンネングサモデルにはほとんど関心を示さなかった。これらのことから、本種では幼虫期の寄主植物種により成虫の翅色に変異が見られ、配偶行動において、この翅色の違いを識別していると考えられる。