The 84th Annual Meeting of the Entomological Society of Japan・The 68th AEZ annual meeting

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[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム2)

Fri. Mar 29, 2024 12:30 PM - 1:30 PM Sakura (Student) (Sakura)

[PS01-66] 細胞内共生細菌による雌性単為生殖化機構の探索

◯Yuta Ohata1, Takafumi N Sugimoto2, Yohsuke Tagami3 (1. Gifu University, 2. NARO, 3. Shizuoka University)

膜翅目昆虫は一般に,受精卵(2n)はメス,未受精卵(n)はオスが発生する半数倍数性により性分化する.しかし,実際の性決定様式は多様であり,未受精卵からメスが生まれるように改変される現象(産雌性単為生殖化:Parthenogenesis Induction = PI)が寄生蜂類を中心に観察され,その多くは細胞内共生細菌による.これまでの研究で我々は,PI誘導と性決定の関係を推定するために,PI誘導細菌WolbachiaRickettsiaに感染した3種の寄生バチにおいて性決定関連遺伝子を網羅的に探索してきた.その結果,3種ともメス分化遺伝子womを最上流因子とするゲノム刷り込みによる性分化が示唆された.この性分化システムでは,未受精卵はwomの母からの刷り込みを受けて雄に分化し,受精卵は雄由来のwomの発現により雌に分化する.そこで,今回はPI誘導細菌とゲノム刷り込みの関連を調べるために全ゲノムのメチル化解析を行った.その結果,Wolbachia感染メスでは未感染個体と比べゲノム全体でメチル化率が上昇していたことから,Wolbachiaによる宿主ゲノムのメチル化操作がPI誘導に寄与する可能性が示唆された.一方,刷り込みの標的と想定されたwomのメチル化率には変化はなかった.