日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会 合同大会

講演情報

ポスター発表

[PS01] ポスター発表(学生A:コアタイム1)

2024年3月29日(金) 11:30 〜 12:30 桜(学生) (桜)

[PS01-67] イラクサギンウワバに感染する2系統のWolbachiaのMLST解析

◯池松 悠希1、野村 昌史2 (1. 千葉大・園芸・応用昆虫、2. 千葉大院・園芸・応用昆虫)

昆虫に広く感染する細胞内共生細菌Wolbachiaは,宿主に対して生殖操作を行うことが知られている.これまでに,イラクサギンウワバ Trichoplusia ni(以下,イラクサ)への感染が報告されているが,一部地域で2013〜20年の7年間でwTni1から異なる系統wTni2に置き換わっていたことが示された.
 そこで,2022~23年に北海道から沖縄までの全16地点のWolbachiaについてMLST解析を行った.MLST遺伝子のうち両系統で合計10塩基の置換が確認されているgatB遺伝子,ftsZ遺伝子を解析したところ,千葉県松戸市,神奈川県横浜市,長野県諏訪郡,兵庫県加西市の4地点でwTni2が確認された.
 しかし,千葉県と神奈川県個体群は,gatB遺伝子はwTni2であったが,ftsZ遺伝子ではwTni1もみられたので,系統解析に用いられるwsp遺伝子も含めて解析を行った.その結果,gatBftsZhcpAで合計12塩基の置換が確認された他,wspでは72塩基の置換と3塩基の欠失が確認された.また,MLST解析の結果,wTni1はチョウ目で広くみられるST41,wTni2はタバココナジラミで感染が確認されているST423であることが明らかになった.