第59回日本小児神経学会学術集会

セッション情報

市民公開講座:Talk on Down syndrome~ライフスパンを通して支援する~

ダウン症

[KIK1] 市民公開講座(基調講演) 周産期医療と生命倫理から学ぶ「連続と不連続の思想」

2017年6月16日(金) 08:30 〜 09:30 第1会場 (大ホール)

座長:高橋孝雄(慶應義塾大学医学部小児科)

【市民公開講座のねらい】
ダウン症について,これまで医療,教育,福祉のそれぞれの現場で話題になることはあっても,3領域の方々が共通の場で議論することはありませんでした.乳幼児期の合併症治療には専門的医療を提供できますが,早期療育についての知識も十分ではなく,教育課題をはじめ,まして成人期のダウン症を持つ方がどのような暮らしをしているのか,どのような医療ニーズがあるのか,誰がその医療を担うべきか,など知っていることは限られています.そのため,ダウン症についてライフステージに合わせて分野の違う先生方と1日を通して議論をしていただきます.

仁志田博司 (東京女子医科大学名誉教授・日本生命倫理学会監事)

【基調講演のねらい】
母体血による無侵襲的出生前検査(NIPT)は、侵襲性のある羊水や絨毛を用いた胎児の確定診断と異なって、侵襲は少なく高い確率であると言っても、判定が確率にとどまるものです。当然、ハイリスクの妊婦が対象であるにもかかわらず、その安易さから検査を希望する人が多くおられます。NIPTコンソーシアムは、陽性者は羊水検査などの確定診断後に中絶する割合が非常に高いと報告しています。技術の進歩の使い方の問題ではありますが、NIPTは結果として命を選別する検査であり、高い倫理観が要求されるべきものです。技術の進歩に先んじて生命倫理について考えることが大切です。