第60回日本小児神経学会学術集会

セッション情報

ガイドライン策定委員会企画

[G2] ガイドライン策定委員会企画2
チック症診療ガイドライン作成に向けて

2018年6月2日(土) 13:30 〜 14:30 第5会場 (3F 302)

座長:山下裕史朗(久留米大学医学部小児科)、作田亮一(獨協医科大学埼玉医療センター子どものこころ診療センター)

【企画・趣旨のねらい】
 チックは,子どもの5—10人に1人が経験するありふれた症状であるが,短期間で消失したり,軽快することも多い.そのために「くせ」の一つとして見過ごされがちである.一方,長期間激しいチックが持続して,生活に支障をきたす例もある.運動チックのみならず,音声チックもあると周囲が気づき,指摘されて本人も悩むことになる.なかでも運動チックと音声チックがともに見られ,長期間続く場合,Tourette症と呼ばれる.チック症とくにTourette症は,さまざまな精神行動上の問題を併発することがあり,対応に苦慮することがある.親の育て方が原因ではなく,脳機能の障害であること,周囲との関係によってチックのあらわれかたが変化することなどの特徴はADHDやASDなどの神経発達症と似ており,DSM—5では,チック症が神経発達症に分類されていることもうなずける.しかし,ADHDやASDほど社会的認知が進んでいない印象がある.わが国における診療ガイドラインもなく,日本小児神経学会ガイドライン策定委員会(担当:前垣義弘理事)の要請を受け,チック症診療ガイドライン策定ワーキンググループを結成し,ガイドライン策定に向けて活動してきた.本シンポジウムでは,チック症のOverview(宮島祐),乳幼児—学童のチック,Tourette症の病態・治療(星野恭子),併存症をともなうチックの評価,治療(金生由紀子),チック症診療アルゴリズム,クリニカルクエスチョン案(石井隆大)について各演者に話をしていただきます.

宮島祐 (東京家政大学子ども学部子ども支援学科、東京医科大学医学部小児科)