第33回大阪府理学療法学術大会

Presentation information

oral session

[O-1] O-1

Sun. Jul 11, 2021 10:35 AM - 11:35 AM 対面会場(200名)/サテライト会場/Web会場①(ウェビナー3000名) (2階グランドホール)

座長:青木 修(四條畷学園大学)

11:25 AM - 11:35 AM

[O-1-06] 運動療法および動作のペーシングにより労作時呼吸困難が改善した間質性肺炎患者の一例

*坂井 玄弥1、嶋崎 勇介1、臼井 淳史1、堀 竜次1,2、中村 孝人3 (1. JCHO星ヶ丘医療センター リハビリテーション部、2. 森ノ宮医療大学 保健医療学部 理学療法学科、3. JCHO星ヶ丘医療センター 呼吸器内科)

【症例紹介】
間質性肺炎と診断された70代女性、労作時呼吸困難(DOE)が増強、乾性咳嗽も認めていた。ADLは自立していたが、外出の制限をきたしていた。「息を大きく吸っても吸えない、咳がよく出る」と訴えがあり、呼吸困難軽減、運動耐容能向上目的に3週間の呼吸リハビリ入院となった。在宅酸素療法(HOT)は導入済み、酸素流量は安静・労作時とも2L/min、集合住宅の4階に住まれており、階段昇降が必要であった。せっかちな性格で、ADL動作は性急になる事が多かった。呼吸機能検査では%VC:83.3% FEV1%:82.84% %DLco:43.6% 心エコー図ではEF:66% E/e’:7.2 TR peakPG:18mmHgであった。
【評価とリーズニング】
安静時SpO2:98%(O2:2L/min)、Modified British Research Council(mMRC):grade3、COPD assessment test(以下CAT):27/40点、胸郭可動性低下も認められ、握力:右18kg/左16.5kg膝伸展筋力:右55N/左49Nであった。初期6分間歩行試験は総距離:220m SpO2:98→97%(O2:2L/min) PR:87→108bpm RR:20→24bpm 修正Borg scale(以下mBS):4→9 下肢疲労:3→5 呼吸困難により90秒間の休憩を要した。歩行以外のADL動作でも呼吸困難が出現した。入院前より安静・労作時ともに咳嗽が強く認められており、咳嗽を誘発しやすいため浅速呼吸パターンとなり換気量が低下している可能性があった。ADL動作は性急な為ゆっくり行うように指導すると呼吸困難の軽減を認めた。
【介入と結果】
咳嗽に対して第3病日よりモルヒネ塩酸塩10mg開始となり咳嗽は徐々に減少した。リハビリ内容は腰背部の筋緊張が高く、胸郭の可動性も低下ありコンディショニングを実施。mBS:4〜5の強度の自転車エルゴメーター運動を10Wで10分間実施。歩行、階段昇降時のペーシングはmBS:3〜4で休息をとりながら「息が上がらないように歩いてください」と指導し歩行練習を実施した。結果、CAT:19/40点、6分間歩行試験は総距離210m 休息時間12秒 SpO2:98→96%(O2:2L/min) PR:73→85bpm RR:14→22bpm mBS:4→5 下肢疲労:4→5 DOEの軽減が見られた。本人より「ゆっくり歩かないと」と歩行速度への発言もありペーシングの定着が見られ、動作の性急性は軽減した。退院時はHOT使用せず退院された。
【結論】
入院前から強い咳嗽、DOEを認めていた。薬物療法により咳嗽が抑制され浅速呼吸パターンが改善、加えコンディショニングにより腰背部の筋緊張が低下し胸郭の動きが向上。また運動療法、患者個人に合わせた歩行時のペーシングを実施する事により酸素消費量が軽減され呼吸困難が改善したと考えらえる。
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には口頭にて説明し同意を得た。本発表は当院倫理委員会にて承認を得ている。(承認番号HG-IRB2115)。

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