第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-1] P-1

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-1 (webポスター会場)

座長:長谷 和哉(近畿大学病院)

[P-1-01] 脳梗塞急性期において入院中に再発を呈した高齢脳梗塞の一例

*徳田 和宏1、海瀬 一也1、小山 隆2、藤田 敏晃2 (1. 阪和記念病院 リハビリテーション部、2. 阪和記念病院 脳神経外科)

【症例紹介】

91歳女性,身長150.0㎝,体重40.5kg.施設に入所されており歩行器歩行が可能であった.2日前より歩きづらそうになり反応も鈍くなったため救急要請し当院へ搬送.来院時意識レベルE4V4M6,ごく軽度の左片麻痺はあるがその他神経学的所見は認められなかった.頭部MRI拡散強調画像にて右レンズ核から放線冠に6スライスにわたる高信号域と右中大脳動脈の狭窄があり脳梗塞診断のもと入院となった.急性期治療については頭蓋内に微小出血が多数認められたことと,発症から時間が経過していたこともありオザグレルナトリウムのみの加療となった.入院翌日よりリハビリテーション開始となる.

【評価とリーズニング】

入院後数日間において運動麻痺の進行はなく感覚障害も認められなかった.上下肢筋力はGMT4と左右差も認めず,下腿周径(右/左)26/26㎝,TCT61点,端坐位保持可,立位は軽介助にて可能であった.なおMMSE12点,FIM26点(運動16/認知10)であった.以上のことからTWISTやEPOS studyからの歩行予後予測を参照にすると,認知機能の低下はあるもののTCT40点以上,坐位保持可,下肢随意運動が可能であり入院前の歩行レベル獲得は可能と推察された.よって目標設定としては,昼食時に病室から談話室まで歩行器を使用し監視で移動できることとし2週間で施設帰所を目指すこととなった.

【介入と結果】

3病日より坐位での両下肢筋力トレーニング,立ち上がり練習を進め4病日より歩行練習(平行棒と体重免荷式歩行器の併用)を追加した.7病日には移乗も監視レベルとなった.9病日,意識レベルやバイタルサイン,病棟生活に大きな変化はなかったものの発語がやや乏しくなった.11病日,意識レベルが低下し左片麻痺が出現.頭部MRIにて右放線冠周囲から皮質下に新規脳梗塞を認め内科的加療が再開となった.再発3日後より離床も再開したが,入院30日後は意識レベルE3V1M5,左麻痺Br.stage上肢Ⅱ下肢Ⅲ,MAS2,下腿周径(右/左)25/25㎝,TCT0点,端坐位軽介助,立位要介助,FIM18点(運動13/認知5)となった.

【結論】

本症例は脱水所見,炎症所見,低血圧,頻脈もなく経口摂取も良好であり全身状態は安定していた.しかしながら,今回新たな血管閉塞を伴う脳梗塞を発症した.急性期治療からの抗血小板薬が単剤であった影響が関与したかもしれない.背景因子が複雑化する高齢脳梗塞の急性期リハビリテーションにおいては,バイタルサインの変動だけでなく初期治療の内容と経過や再発予防に関する情報収集も重要と考えられた.

【倫理的配慮、説明と同意】

本報告はヘルシンキ宣言を遵守した上個人情報が特定できないよう十分配慮した.

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