第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-1] P-1

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-1 (webポスター会場)

座長:長谷 和哉(近畿大学病院)

[P-1-03] 被殻出血後にlateropulsionを呈した6症例の急性期病棟での経過

*田中 宏明1、若森 勇作1 (1. 馬場記念病院)

【背景と目的】
 脳卒中後にlateropulsion(LP)を呈した症例はそうでない症例に比べADLの回復が遅延する。しかしLPは発症6ヵ月以内にはほぼ消失し、最終的なADLには差がないことが報告されている。ただ、LP症例は長期間の理学療法を必要とし、早期のADL改善にはLPを早期に終息させることが重要である。ここでは、LPを呈した症例の急性期病棟(~第32病日)での経過を報告する。
【対象と方法】
 対象は理学療法介入時(第1~2病日)にLPを呈していた被殻出血患者6例(症例①~⑥;年齢55.3±10.2歳;男4、女2;左4、右2)。理学療法は関節可動域運動、起立運動、長下肢装具を使用した立位、歩行を実施し、症例⑥には上記理学療法に加えリーチ課題運動(RTT)を第21~31病日に追加した。毎理学療法前のLPのBurke lateropulsion scale (BLS)による評価は症例①~⑤では第8病日以内に、症例⑥では第21病日に開始し、退院時まで継続した。症例⑥ではRTTを加えた毎理学療法後のLPもBLSで評価した。
【結果】
 症例①~③では第20病日以内にLPが消失、すなわち、症例① 11点(第2病日)→0点(退院の第14病日)、症例② 5点(第5病日)→0点(退院の第20病日)、症例③ 7点(第8病日)→0点(退院の第20病日)であった。症例④~⑥のLPは急性期病棟退院までには改善はしたが消失しなかった。すなわち、症例④ 8点(第3病日)→5点(退院の第16病日)、症例⑤ 9点(第5病日)→2点(退院の第24病日)、症例⑥ 7点(第21病日)→3点(退院の第32病日)であった。
 症例⑥のRTTを加えた理学療法(第21~31病日)前後のBLSは各理学療法前中央値 4.0点、IQR (4.0点,5.5点)、各理学療法直後は中央値 3.0点、IQR (3.0点,4.0点)で、理学療法直後は有意に小さかった(n=11 p=0.01 Wilcoxon符号付き順位検定 有意水準5%)。BLSの各理学療法前後の変化(当日の理学療法後BLS-当日の理学療法前BLS)は、中央値 -1.0点、IQR (-0.5点,-2.0点)であった。翌日までのBLS値でみたLP残存率[{(当日の理学療法前BLS-前日の理学療法前BLS)/(前日の理学療法後BLS-前日の理学療法前BLS)}×100]は、中央値 0%、IQR (-8.3%,0%)であった。
【結論】
 急性期病棟退院までにLPが消失している症例と改善するが残存している症例があった。LPが20病日で残存していた症例⑥にRTTを追加し、理学療法直後にはLPは一時的には改善したが、翌日までその効果は持続していなかった。今後、LP症例では理学療法開始日からBLSを用いてLPを評価し、LPが早期に改善する症例と残存する症例の違いを明確にする。
【倫理的配慮, 説明と同意】
 社会医療法人ペガサス倫理委員会の承認を得、研究した(承認番号:2021-15)。

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