[P-10-01] 包括的呼吸リハビリテーションを実施し,自宅退院可能となった終末期の慢性呼吸器疾患症例
【症例紹介】70歳台男性.X日に労作時の呼吸困難を主訴に当院に受診,肺化膿症と慢性進行性アスペルギルス症(Chronic progressive pulmonary aspergillosis:CPPA)と診断され,入院した.呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)と抗生剤加療によりX+15日に自宅退院したが,喀血と悪心によってX+34日に再入院となりX+37日より呼吸リハを介入した.X+49日に医師より年単位の予後は難しいと説明を受けた.病歴にCOPD,右気胸,肺結核がある.入院前のADLは自立で自宅は戸建て3階,主な居住スペースは3階であった.
【評価とリーズニング】初回入院時のmodified Medical Research Council dyspnea scale(mMRCスケール)は「3」,室内気で連続歩行距離210m,歩行後のSpO2は85%,修正ボルグスケールは「5」,階段は18段の昇降が可能であった.再入院時のmMRCスケールは「4」,酸素2Lで連続歩行距離50m,歩行後のSpO2は91%,修正ボルグスケールは「4」,階段は9段の昇段で休憩が必要となった.また,両側肺底区を中心に水泡音を聴取,茶褐色の粘稠痰が多量に認められた.安静時,労作時の酸素化低下,呼吸困難感の増悪が認められため,在宅酸素療法(HOT)導入となった.酸素流量の決定に関してはCO2ナルコーシスの可能性を考慮した.その上で安全かつ適切にHOTを使用出来るようになることが重要だと考えた.また,粘稠痰が多量にあると呼吸困難感の増悪,窒息,肺炎や無気肺が発生する可能性が高まるため,少ない努力で自己喀痰が可能になる必要があると考えた.
【介入と結果】初回入院時はADL練習,下肢の筋力強化練習,セルフモニタリングの指導を実施した. 再入院時はHOT機器の操作方法の指導を看護師と共に行った.酸素化の評価を行い,酸素流量を医師や看護師と連携を図り,安静時1L,労作時2Lに決定した.また,茶褐色の粘稠痰を多量に認めたため,用手的呼吸介助,排痰,アクティブサイクル呼吸法を実施,自己喀痰が可能となった.呼吸困難感軽減のため,呼吸筋,胸郭のストレッチング,パニックコントロールを指導した.歩行や階段昇降のADL練習をし,X+50日に自宅退院した.退院5日後,自宅で家族に見守られながら看取りとなった.
【結論】終末期の肺化膿症とCPPAを呈する慢性呼吸器疾患患者に対して呼吸リハを実施した.徐々に病状が進行し,呼吸困難感や倦怠感などの症状が増悪,ADLが低下する時期に患者の状態に合わせて,HOTの酸素流量の調整,排痰介助,動作指導,ADL練習を行ったことが自宅退院に繋がった.最終的には自宅で看取りとなったが,最期に自宅で過ごせたことは患者や家族のQOLの向上に寄与できたと考える.
【倫理的配慮、説明と同意】本症例はヘルシンキ宣言に基づき,口頭・書面にて発表の主旨を十分に説明し同意を得た.
【評価とリーズニング】初回入院時のmodified Medical Research Council dyspnea scale(mMRCスケール)は「3」,室内気で連続歩行距離210m,歩行後のSpO2は85%,修正ボルグスケールは「5」,階段は18段の昇降が可能であった.再入院時のmMRCスケールは「4」,酸素2Lで連続歩行距離50m,歩行後のSpO2は91%,修正ボルグスケールは「4」,階段は9段の昇段で休憩が必要となった.また,両側肺底区を中心に水泡音を聴取,茶褐色の粘稠痰が多量に認められた.安静時,労作時の酸素化低下,呼吸困難感の増悪が認められため,在宅酸素療法(HOT)導入となった.酸素流量の決定に関してはCO2ナルコーシスの可能性を考慮した.その上で安全かつ適切にHOTを使用出来るようになることが重要だと考えた.また,粘稠痰が多量にあると呼吸困難感の増悪,窒息,肺炎や無気肺が発生する可能性が高まるため,少ない努力で自己喀痰が可能になる必要があると考えた.
【介入と結果】初回入院時はADL練習,下肢の筋力強化練習,セルフモニタリングの指導を実施した. 再入院時はHOT機器の操作方法の指導を看護師と共に行った.酸素化の評価を行い,酸素流量を医師や看護師と連携を図り,安静時1L,労作時2Lに決定した.また,茶褐色の粘稠痰を多量に認めたため,用手的呼吸介助,排痰,アクティブサイクル呼吸法を実施,自己喀痰が可能となった.呼吸困難感軽減のため,呼吸筋,胸郭のストレッチング,パニックコントロールを指導した.歩行や階段昇降のADL練習をし,X+50日に自宅退院した.退院5日後,自宅で家族に見守られながら看取りとなった.
【結論】終末期の肺化膿症とCPPAを呈する慢性呼吸器疾患患者に対して呼吸リハを実施した.徐々に病状が進行し,呼吸困難感や倦怠感などの症状が増悪,ADLが低下する時期に患者の状態に合わせて,HOTの酸素流量の調整,排痰介助,動作指導,ADL練習を行ったことが自宅退院に繋がった.最終的には自宅で看取りとなったが,最期に自宅で過ごせたことは患者や家族のQOLの向上に寄与できたと考える.
【倫理的配慮、説明と同意】本症例はヘルシンキ宣言に基づき,口頭・書面にて発表の主旨を十分に説明し同意を得た.
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