第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-10] P-10

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-10 (webポスター会場)

座長:太田 幸子(国立循環器病研究センター)、村田 宏之(千里リハビリテーション病院)

[P-10-05] 回復期病棟における橋出血患者ー症例の歩行自立度判定の検討

*藤田 美優1、清水 亮1、今津 義智1 (1. 医療法人晴心会野上病院)

【症例紹介】60歳代女性。他院にて左橋出血と診断され保存的治療にて経過。発症18日目に当院入院、発症25日目より回復期病棟入棟となる。【評価とリーズニング】発症約120日目、四点杖歩行は3動作前型見守りレベル。Brunnstrom Recovery Stage test (以下BRS-t)は右上肢Ⅴ・手指Ⅵ・下肢Ⅴ。徒手筋力検査(以下MMT、右/左)は股関節伸展2/3・体幹屈曲3。感覚は表在・深部ともに右上下肢軽度鈍麻。Scale for the Assessment Rating Ataxia (以下SARA)は9/40点、鼻指鼻試験は左側陰性、踵膝試験は左側陽性。Trail Making Test(以下TMT)-Aは171秒、TMT-Bは287秒。Berg Balance Scale(以下BBS)は35/56点。四点杖10m歩行は66.3秒、Timed Up and Go Test(以下TUG)は81.0秒であった。バランス能力、歩行能力、注意機能において、各評価のカットオフ値には至らず病棟歩行自立への移行を判定することができなかった。そのため実際の日常生活動作(以下ADL)場面で病棟歩行を評価し、自立への移行を判定する方法を検討した。【介入と結果】まず言葉の定義として、本症例が四点杖歩行をする際、出発地点から目的地まで病棟職員(看護師、看護助手)による付き添いを「介入」と定義した。また四点杖での病棟歩行時は病棟職員の付き添いのもと移動するように本症例、病棟職員ともに予め説明し同意を得た。評価方法は、数日間の病棟職員による介入回数に対して、要介助であった介入回数の割合を評価し、10%未満であれば病棟歩行自立と判定することとした。また、要介助であった場合は原因を分析するため理由も記録しておく。介入場面は自室・病棟トイレ(自室から10m)・ホール(自室から30m)・病棟歩行練習(100m)の4カ所とした。その間の理学療法は、神経筋再教育・協調訓練、バランス練習、歩行練習などを実施した。結果として介入機会がなかった日や車椅子で移動されていた日も認めたが、合計12日間で29回介入し要介助の介入回数は0回であった。発症約150日目、BRS-t、MMT、感覚障害、踵膝試験、SARAに変化は認めなかった。TMT-Aは150秒、TMT-Bは187秒、BBSは39/56点、四点杖10m歩行は33.0秒、TUGは55.7秒となった。四点杖歩行は自室から病棟トイレまで日中自立、発症約160日目には日中病棟自立と判定することができた。そして転倒することなく自宅に退院(発症171日目)することができた。【結論】本症例は四点杖歩行を見守りから自立への移行を判定する際、一般的な評価では歩行自立と判定するには困難な症例であった。ADL場面において病棟職員と共に介入回数を客観的に評価したことで、四点杖歩行を自立へ移行することができたと考える。今回用いた評価方法は、歩行自立を判定する手段として有効な方法である可能性が示唆された。【倫理的配慮、説明と合意】ヘルシンキ宣言に従い、本症例へ発表の趣旨を説明し書面にて同意を得た。

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