[P-12-02] 骨付き膝蓋腱によるACL再建術後スポーツ復帰の予測因子
〜術前因子とカットオフ値についての検討〜
【背景と目的】
膝前十字靭帯(ACL)再建術後のスポーツ復帰(Return to sport; RTS)に関連する因子についての報告は散見されるが,術後6ヶ月以降に得られる膝機能の情報が多く,早期よりRTS困難者の予測が行えて介入可能な因子ついて報告したものは少ない。本研究の目的は、骨付き膝蓋腱によるACL 再建術後症例を対象にRTSに関連する術前因子を検討するとともに,そのカットオフ値を得る事である。
【方法】
当院にてRTSを目的に骨付き膝蓋腱による初回ACL 再建術を施行した117 名(平均年齢18.2±2.9歳、男性64 名、女性53名)を対象とし,術後1 年時のRTS状況により復帰群,非復帰群に分類した。評価項目は手術時年齢,性別,受傷時Tegner Activity Scale(TAS),受傷から手術までの期間(待機期間),術前の等速性膝伸展筋力患健比(Quadriceps index; QI)及び術前IKDC subjective score(IKDC)とした。統計処理は両群の比較をMann-Whitney のU 検定及びx2検定にて行い,有意差を認めた因子に対しReceiver Operating Characteristic CurveにてR T Sを判断するカットオフ値を算出した。統計処理はSPSS20 for windowsを用い,有意水準は5% とした。
【結果】
術後1 年時のスポーツ復帰状況は,復帰群75 名(64%;平均17.9±2.9歳、男性42名、女性33名、受傷時TAS中央値9、待機期間72.7±42.7日、術前IKDC 67.0±12.3点),非復帰群42名(36%;平均18.7±2.8歳、男性22名、女性20名、受傷時TAS中央値9、待機期間120.4±129.5日,術前IKDC 68.5±12.4点)であった。年齢,性別,受傷時TAS,待機期間,術前IKDCについては両群間に有意差を認めなかったが,術前QIは復帰群(80.1±16.7%)に比べ非復帰群(69.5±18.6%)が有意に低下していた(p<0.01)。R T S可否を判別する術前QIのカットオフ値は79%(曲線下面積0.70;p<0.01)であった。
【結論】
今回,術前QIがACL再建術後RTSの予測因子となる事が示唆され、そのカットオフ値は79%であった。本研究結果より術前QIが79% 以下の骨付き膝蓋腱採取症例に対しては、RTSを目標とする場合、術後介入に特に注意を要すると考えられた。今後,術前伸展筋力が低い症例に対し術後の膝機能を効果的に改善するアプローチの検討が必要である。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究及び発表に関して、ヘルシンキ宣言に則り対象者へ十分な説明を口頭にて行い、文書にて同意を得た。本研究は当院倫理委員会の承認を得た(承認番号:29-21番)。
膝前十字靭帯(ACL)再建術後のスポーツ復帰(Return to sport; RTS)に関連する因子についての報告は散見されるが,術後6ヶ月以降に得られる膝機能の情報が多く,早期よりRTS困難者の予測が行えて介入可能な因子ついて報告したものは少ない。本研究の目的は、骨付き膝蓋腱によるACL 再建術後症例を対象にRTSに関連する術前因子を検討するとともに,そのカットオフ値を得る事である。
【方法】
当院にてRTSを目的に骨付き膝蓋腱による初回ACL 再建術を施行した117 名(平均年齢18.2±2.9歳、男性64 名、女性53名)を対象とし,術後1 年時のRTS状況により復帰群,非復帰群に分類した。評価項目は手術時年齢,性別,受傷時Tegner Activity Scale(TAS),受傷から手術までの期間(待機期間),術前の等速性膝伸展筋力患健比(Quadriceps index; QI)及び術前IKDC subjective score(IKDC)とした。統計処理は両群の比較をMann-Whitney のU 検定及びx2検定にて行い,有意差を認めた因子に対しReceiver Operating Characteristic CurveにてR T Sを判断するカットオフ値を算出した。統計処理はSPSS20 for windowsを用い,有意水準は5% とした。
【結果】
術後1 年時のスポーツ復帰状況は,復帰群75 名(64%;平均17.9±2.9歳、男性42名、女性33名、受傷時TAS中央値9、待機期間72.7±42.7日、術前IKDC 67.0±12.3点),非復帰群42名(36%;平均18.7±2.8歳、男性22名、女性20名、受傷時TAS中央値9、待機期間120.4±129.5日,術前IKDC 68.5±12.4点)であった。年齢,性別,受傷時TAS,待機期間,術前IKDCについては両群間に有意差を認めなかったが,術前QIは復帰群(80.1±16.7%)に比べ非復帰群(69.5±18.6%)が有意に低下していた(p<0.01)。R T S可否を判別する術前QIのカットオフ値は79%(曲線下面積0.70;p<0.01)であった。
【結論】
今回,術前QIがACL再建術後RTSの予測因子となる事が示唆され、そのカットオフ値は79%であった。本研究結果より術前QIが79% 以下の骨付き膝蓋腱採取症例に対しては、RTSを目標とする場合、術後介入に特に注意を要すると考えられた。今後,術前伸展筋力が低い症例に対し術後の膝機能を効果的に改善するアプローチの検討が必要である。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究及び発表に関して、ヘルシンキ宣言に則り対象者へ十分な説明を口頭にて行い、文書にて同意を得た。本研究は当院倫理委員会の承認を得た(承認番号:29-21番)。
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