[P-14-02] 二重課題条件下での歩行速度向上に対するHONDA歩行アシストの有効性
【背景と目的】
二重課題(以下、DT)条件とは、要求される2つの課題を同時にこなすというものであり、2つの課題への注意を適切に配分しながら、課題を遂行することが求められる。なお、向けられる注意量には限界があるため、限りある注意資源の中で、必要な対象に必要なだけの注意を適切に配分しながら、動作を遂行する必要がある。
Honda製歩行アシスト(以下、歩行アシスト)は、立脚期の倒立振子や遊脚期の遊脚振子の大きさに影響を与え、適切な歩行を行えるように制御することを目的としている。これまで歩行アシストは回復期や、生活期の脳卒中患者、さらに急性期の整形外科手術後患者を対象に使用され、歩幅や歩行速度が改善することが報告されているが、DT条件下での歩行速度を調査した報告は少なく、その適応や効果は明らかにされていない。
本研究は,回復期リハビリテーション病棟入院中の1症例を対象に、DT条件下での歩行速度に対する歩行アシストの使用効果を検証することを目的とした。
【方法】
対象は回復期リハビリテーション病棟入院中の女性1名(年齢:80歳代)である。Mini Mental State Examinationは21点、Berg Balance Scaleは43点、歩行は独歩監視で可能であった。なお、麻痺や失調などの神経系機能障害は有していない。
独歩での歩行練習を運動課題とし、歩行アシスト無しでの歩行練習を1週間試行後、歩行アシスト有り(左右屈伸トルク3.0Nm)での歩行練習を1週間試行した。運動課題は5分×2セット/日、3日/週で設定し、試行期間を2週間とした。評価項目は10m歩行時間(歩行形態:独歩)とし、シングルタスク(以下、ST)条件と、DT条件の2種類を、試行期間の初期(1日目)、中間(8日目)、最終(14日目)で測定した。DT条件での認知課題は、100から7を順次引く暗算である。また、ST条件からDT条件の歩行時間における変化量(以下、ST・DT変化量)を算出し、歩行アシスト有無の結果で比較検証した。
【結果】
試行期間における10m歩行時間の評価結果を示す。初期のST条件:22.31秒、DT条件:43.69秒、ST・DT変化量:21.38秒であり、中間のST条件:29.23秒、DT条件:46.69秒、ST・DT変化量:17.46秒、最終のST条件:21.49秒、DT条件:28.41秒、ST・DT変化量:6.92秒であった。これらより、試行間の評価結果比較では、初期や中間時と比べ最終時のST・DT変化量で大幅な短縮を認めた。
【結論】
歩行練習時の歩行アシスト有無は、その後のST・DT変化量の改善に差を示し、歩行アシスト有りでの歩行練習後は、歩行アシスト無しと比べST・DT変化量が大幅に短縮した。DT歩行は,転倒を予測する因子の1つであり、本研究はDT歩行速度向上に対する、歩行アシストの有効性を僅かながら示した。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に則り、患者と家族に口頭および書面での説明を行い、同意を得た。
二重課題(以下、DT)条件とは、要求される2つの課題を同時にこなすというものであり、2つの課題への注意を適切に配分しながら、課題を遂行することが求められる。なお、向けられる注意量には限界があるため、限りある注意資源の中で、必要な対象に必要なだけの注意を適切に配分しながら、動作を遂行する必要がある。
Honda製歩行アシスト(以下、歩行アシスト)は、立脚期の倒立振子や遊脚期の遊脚振子の大きさに影響を与え、適切な歩行を行えるように制御することを目的としている。これまで歩行アシストは回復期や、生活期の脳卒中患者、さらに急性期の整形外科手術後患者を対象に使用され、歩幅や歩行速度が改善することが報告されているが、DT条件下での歩行速度を調査した報告は少なく、その適応や効果は明らかにされていない。
本研究は,回復期リハビリテーション病棟入院中の1症例を対象に、DT条件下での歩行速度に対する歩行アシストの使用効果を検証することを目的とした。
【方法】
対象は回復期リハビリテーション病棟入院中の女性1名(年齢:80歳代)である。Mini Mental State Examinationは21点、Berg Balance Scaleは43点、歩行は独歩監視で可能であった。なお、麻痺や失調などの神経系機能障害は有していない。
独歩での歩行練習を運動課題とし、歩行アシスト無しでの歩行練習を1週間試行後、歩行アシスト有り(左右屈伸トルク3.0Nm)での歩行練習を1週間試行した。運動課題は5分×2セット/日、3日/週で設定し、試行期間を2週間とした。評価項目は10m歩行時間(歩行形態:独歩)とし、シングルタスク(以下、ST)条件と、DT条件の2種類を、試行期間の初期(1日目)、中間(8日目)、最終(14日目)で測定した。DT条件での認知課題は、100から7を順次引く暗算である。また、ST条件からDT条件の歩行時間における変化量(以下、ST・DT変化量)を算出し、歩行アシスト有無の結果で比較検証した。
【結果】
試行期間における10m歩行時間の評価結果を示す。初期のST条件:22.31秒、DT条件:43.69秒、ST・DT変化量:21.38秒であり、中間のST条件:29.23秒、DT条件:46.69秒、ST・DT変化量:17.46秒、最終のST条件:21.49秒、DT条件:28.41秒、ST・DT変化量:6.92秒であった。これらより、試行間の評価結果比較では、初期や中間時と比べ最終時のST・DT変化量で大幅な短縮を認めた。
【結論】
歩行練習時の歩行アシスト有無は、その後のST・DT変化量の改善に差を示し、歩行アシスト有りでの歩行練習後は、歩行アシスト無しと比べST・DT変化量が大幅に短縮した。DT歩行は,転倒を予測する因子の1つであり、本研究はDT歩行速度向上に対する、歩行アシストの有効性を僅かながら示した。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究はヘルシンキ宣言に則り、患者と家族に口頭および書面での説明を行い、同意を得た。
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