第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-15] P-15

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-15 (webポスター会場)

座長:本田 寛人(四條畷学園大学)

[P-15-02] 糖尿病を合併した肺炎後廃用症候群の一症例 ~退院後のQOL向上を図った介入~

*熊谷 佳奈1、澤井 弘喜1、玉村 悠介1 (1. わかくさ竜間リハビリテーション病院 療法部 療法課)

【症例紹介】肺炎後廃用症候群と診断され,糖尿病を合併する一症例.80歳代女性,BMI18.8kg/m2.熱中症にて急性期病院に4日間入院し,退院後自宅にて独居されていたが,3日後自宅前で動けなくなっている所を発見され救急搬送.肺炎後廃用症候群と診断され第25病日リハビリ目的で当院回復期リハビリテーション病棟入院.合併症は糖尿病,脂質異常症.病前は独居でADL自立.第7病日,血糖211mg/dl,LDH394U/l.



【評価とリーズニング】第25病日,HbA1c6.1%,血糖184mg/dl,LDH217U/l,CRP0.04mg/dl,WBC40.6102^/ul,MRC息切れスケールGrade2.FIM101点.病棟内移動は独歩自立していた.等尺性膝伸展筋力20.8kgf,TUG9.15秒,6分間歩行500m,FBS46点,著明な筋力低下は認めないも,50~60%の中等度負荷下での抵抗運動後,収縮時血圧140台から190台までの上昇を頻繁に認めた.



【介入と結果】自転車エルゴメーターを使用した有酸素運動20分と,体幹・下肢の8種類のレジスタンストレーニング15~20回2セットをそれぞれ50~60%の運動強度で実施.負荷量は定期的にKarvonen法・Borg Scaleにて調節した.また,運動習慣の定着を目的に,歩数計を24時間使用し,1日5000歩以上の歩行を自主トレーニングとして導入した.第90病日,BMI19.7kg/m2,HbA1c5.7%,血糖80mg/dl,LDH178U/l,CRP0.02mg/dl,WBC29.2102^/ul,MRC息切れスケールGrade1.FIM112点.等尺性膝伸展筋力33.5kgf,TUG8.5秒,6分間歩行515m,FBS55点となった.また運動中の急激な血圧上昇はみられなくなった.歩数計を導入した結果,平均約7000歩/日であり,1日の活動量が増加し,109病日に施設退院となった.140病日後の電話調査では「体操」「散歩」「手伝い」等の活動に積極的に取り組んでいるという情報が得られ,QOLの向上が図れていた.(Life Space Assesment入院前6点→退院後10点)



【結論】当院入院時には肺炎所見や症状,著明な身体機能障害は認めないも,糖尿病を合併していた一症例.糖尿病は動脈硬化等の血管疾患のリスク因子であること,また,現病歴の経過から安全な生活環境の提供が必要な症例であった.血糖コントロールを目的とした運動療法では,中等度の運動負荷でのレジスタンストレーニング及び有酸素運動がグルコース輸送体(GLUT4)を活性化させる運動強度として推奨されている.よって,適宜運動強度を調整した介入が筋力増強に加え,血圧変動や糖尿病指標の安定化に効果的であったと考えられる.また,歩数計の使用など運動習慣の確立に向けた患者教育も,今後の糖尿病の増悪リスクの軽減に寄与し,退院後のQOLの向上が図れたと考えられた.



【倫理的配慮,説明と同意】尚,患者には本発表について説明のうえ同意を得た.

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