第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-4] P-4

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-4 (webポスター会場)

座長:福本 悠樹(関西医療大学)

[P-4-01] 下肢優位の運動麻痺を呈した急性硬膜下血腫の一症例ー屋外独歩自立を目指してー

*木下 栞1、浦上 慎司1、川村 知史1 (1. JCHO星ヶ丘医療センター)

【症例紹介】
40歳代男性。急性硬膜下血腫を発症し、未破裂の左前大脳動脈瘤も発見された。外科的治療として血腫除去術、トラッピング術を施行。術後に右下肢の運動麻痺が出現した。術後24日目に当院回復期リハビリテーション病棟へ転棟。
【評価とリーズニング】
術後59日目(初期評価)右SIAS-motor(4,4,2,3,2)、表在・深部感覚:右上下肢軽度鈍麻、筋力(Hand Held Dynamometerにて測定、右/左、単位N/kg):股関節外転1.2/2.0、足関節背屈0.2/2.0、Trunk Impairment Scale(TIS):15点、Mini-BESTest:14点、10m歩行テスト(独歩):18.6秒。歩容は初期接地で右足関節内反位・足底接地を認め、続く荷重応答期~前遊脚期にかけて常時膝屈曲位、遊脚期で右骨盤が挙上しtoe clearanceの低下を認めた。また、歩行時に「右足が上がりにくい」との訴えがあり、屋内歩行に監視が必要であった。これらの現象は下肢優位の運動麻痺に伴い筋出力が低下することで右立脚期が安定せず、遊脚期への移行が円滑に行うことができないことにより努力的な遊脚や本人の訴えに繋がっていると考えた。
術後77日目(中間評価)右SIAS-motor(4,4,3,3,2)、筋力:股関節外転2.0/2.6、足関節背屈0.6/2.0 、TIS:15点、Mini-BESTest:18点、10m歩行テスト:8.2秒。この時期には屋内独歩自立となったが、屋外歩行には監視が必要であった。歩容は右立脚期全体で体幹右側屈を呈し、屋外歩行時は不整地面でふらつきが見られた。これらの現象は中殿筋の筋力低下や側方・回旋方向への体幹機能の低下により、右片脚支持でのバランス能力の低下に繋がっていると考えた。
【介入と結果】
初期~中間では屋内独歩自立に向けて短下肢装具、機能的電気刺激(FES)、体重免荷式トレッドミルを用いた歩行練習を組み合わせて実施し、左右対称的な歩行パターンで麻痺側下肢への荷重を促した。中間~最終では屋外独歩自立に向けて中殿筋・腹斜筋の筋力強化やマット上・片脚立位などのバランス練習を追加し、屋外歩行に必要なバランス能力向上を目指した。
術後135日目(最終評価)右SIAS-motor(4,4,4,4,2)、筋力:股関節外転2.4/2.8、足関節背屈1.0/2.2、TIS:18点、Mini-BESTest:26点、10m歩行テスト:7.2秒。不整地面でのふらつきも見られず屋外独歩自立となり退院に至った。
【結論】
初期の介入では麻痺側下肢の身体機能に合わせた環境設定を行い、歩行練習を行ったことが歩行速度の向上に繋がったと考える。しかし、屋外独歩自立は困難であったことから問題点を再考し、体幹機能や筋力、バランスなどの治療アプローチを追加した。最終的に屋外歩行に必要なバランス能力が向上し、屋外独歩自立に繋がったと考える。
【倫理的配慮、説明と同意】
対象者には口頭にて説明し書面にて同意を得た。また、本発表は当院倫理委員会にて承認を得ている(承認番号:HG-IRB2120)。

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