[P-4-02] 脳卒中片麻痺患者のボツリヌス療法と装具療法の併用により歩行能力が改善した一症例
【症例紹介】13年前に左被殻出血を発症され右片麻痺を呈した50代女性.自宅内独歩時に麻痺側足部内反位となり,転倒を繰り返しているためボツリヌス療法(以下BTX)とリハビリテーション目的でX日に1か月の入院となった.
【評価とリーズニング】X日の下肢Brunnstrom Recovery Stage:Ⅳ,Stroke Impairment Assessement set(以下SIAS)下肢motor:股関節2・膝関節2・足関節1,感覚障害:表在・深部ともに軽度鈍麻,麻痺側関節可動域(以下ROM):股関節屈曲105°,伸展0°,足関節背屈0°,Modified Ashworsth Scale(以下MAS)は足関節底屈筋3,足趾屈筋0,足クローヌス陽性であった.裸足での杖歩行において麻痺側立脚初期では足部底屈内反・足趾屈曲位で足底外側から接地して荷重することで足部内反・下腿外側への傾斜が強要され,麻痺側への転倒リスクを増大させていた.立脚中期は膝関節屈曲・足部内反.立脚終期は股関節屈曲位,足部内反・足趾屈曲位で蹴り出しは消失し,非麻痺側へ体幹を側屈して振り出しを行っていた.歩行能力評価は10m裸足杖歩行(快適歩行速度):21.36秒,Time up&Go Test(以下TUG):18.88秒であった.X+1日目にBTXを上腕二頭筋・上腕三頭筋・後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋・腓腹筋(内外側共)に390単位実施した.X+3日目の評価は麻痺側足関節背屈ROM10°・足関節底屈MAS1+・足クローヌス陰性に改善し,歩行時の麻痺側足部内反と足趾屈曲は軽減し,立脚終期で股関節伸展が認められ.10m裸足杖歩行(快適歩行速度):15.62秒,TUG:12.59秒と改善した.しかし,立脚初期での足底全面接地による下腿前傾不足,立脚終期での足部内反,非麻痺側への体幹側屈での振り出しによる非効率な歩行は残存した.
【介入と結果】ストレッチ・筋力増強運動に加えて装具療法を行った。Gaitsolution Desing®油圧2.5を使用し,独歩にて麻痺側踵接地を促すことで効率的な歩行の獲得を目指した.結果,X+29日目のSIAS下肢motor:股関節4・膝関節4・足関節3,ROM股関節伸展15,足関節背屈15と改善が見られた.裸足での杖歩行において麻痺側踵接地が可能となり下腿の前傾を認め.非麻痺側への体幹側屈による振り出しも改善した。10m裸足杖歩行(快適歩行速度):13.81秒,TUG:10.88秒となった.
【結論】本症例はBTXにより筋緊張は低下したものの,発症より13年経過しており非効率な歩行は残存していた.脳卒中痙縮患者は機能障害に伴い代償性の歩行様式を獲得しておりBTX後に筋緊張の変化から歩行の再学習が必要であると考えられるが介入方法に一定の見解はえられていない.今回BTX後に装具を使用し歩行練習することで装具を使用していない歩行能力の改善に至った.BTX後は装具の併用にて歩容・歩行能力改善に有効である可能性が示唆された.
【倫理的配慮,説明と同意】発表に際し症例に十分に趣旨を説明し同意を得た.
【評価とリーズニング】X日の下肢Brunnstrom Recovery Stage:Ⅳ,Stroke Impairment Assessement set(以下SIAS)下肢motor:股関節2・膝関節2・足関節1,感覚障害:表在・深部ともに軽度鈍麻,麻痺側関節可動域(以下ROM):股関節屈曲105°,伸展0°,足関節背屈0°,Modified Ashworsth Scale(以下MAS)は足関節底屈筋3,足趾屈筋0,足クローヌス陽性であった.裸足での杖歩行において麻痺側立脚初期では足部底屈内反・足趾屈曲位で足底外側から接地して荷重することで足部内反・下腿外側への傾斜が強要され,麻痺側への転倒リスクを増大させていた.立脚中期は膝関節屈曲・足部内反.立脚終期は股関節屈曲位,足部内反・足趾屈曲位で蹴り出しは消失し,非麻痺側へ体幹を側屈して振り出しを行っていた.歩行能力評価は10m裸足杖歩行(快適歩行速度):21.36秒,Time up&Go Test(以下TUG):18.88秒であった.X+1日目にBTXを上腕二頭筋・上腕三頭筋・後脛骨筋・長趾屈筋・長母趾屈筋・腓腹筋(内外側共)に390単位実施した.X+3日目の評価は麻痺側足関節背屈ROM10°・足関節底屈MAS1+・足クローヌス陰性に改善し,歩行時の麻痺側足部内反と足趾屈曲は軽減し,立脚終期で股関節伸展が認められ.10m裸足杖歩行(快適歩行速度):15.62秒,TUG:12.59秒と改善した.しかし,立脚初期での足底全面接地による下腿前傾不足,立脚終期での足部内反,非麻痺側への体幹側屈での振り出しによる非効率な歩行は残存した.
【介入と結果】ストレッチ・筋力増強運動に加えて装具療法を行った。Gaitsolution Desing®油圧2.5を使用し,独歩にて麻痺側踵接地を促すことで効率的な歩行の獲得を目指した.結果,X+29日目のSIAS下肢motor:股関節4・膝関節4・足関節3,ROM股関節伸展15,足関節背屈15と改善が見られた.裸足での杖歩行において麻痺側踵接地が可能となり下腿の前傾を認め.非麻痺側への体幹側屈による振り出しも改善した。10m裸足杖歩行(快適歩行速度):13.81秒,TUG:10.88秒となった.
【結論】本症例はBTXにより筋緊張は低下したものの,発症より13年経過しており非効率な歩行は残存していた.脳卒中痙縮患者は機能障害に伴い代償性の歩行様式を獲得しておりBTX後に筋緊張の変化から歩行の再学習が必要であると考えられるが介入方法に一定の見解はえられていない.今回BTX後に装具を使用し歩行練習することで装具を使用していない歩行能力の改善に至った.BTX後は装具の併用にて歩容・歩行能力改善に有効である可能性が示唆された.
【倫理的配慮,説明と同意】発表に際し症例に十分に趣旨を説明し同意を得た.
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