第33回大阪府理学療法学術大会

Presentation information

Web Poster

[P-4] P-4

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-4 (webポスター会場)

座長:福本 悠樹(関西医療大学)

[P-4-05] パーキンソン病のすくみ足の改善を目指した症例−二重課題訓練を用いて−

*市村 拓也1、横山 一樹1 (1. 介護老人保健施設のだふじ)

【症例紹介】

本症例は、パーキンソン病を呈した80代女性で、自宅や当施設での歩行時(主に歩行開始時、方向転換時、目的物へ近づいた際)にすくみ足が出現し頭頸部、上部体幹が前方へ移動し、つま先が浮いた状態となり前方へ転倒リスクが増加している症例である。今回は、すくみ足に対して、二重課題訓練を実施した結果、大脳からの情報処理能力、注意の分散化が向上しすくみ足の改善を認め転倒リスクが軽減したので報告する。

【評価とリーズニング】

本症例の歩行動作では歩行開始時、方向転換時、目的物へ近づいた時にすくみ足を認める。パーキンソン病でのすくみ足の86%は歩行開始時、45%は方向転換時、25%は狭い場所を通る時、18%は目標に近づいたときに生じると報告されている。すくみ足が出現している原因として、歩行時に複数の課題を処理する能力が必要となり、大脳からの情報伝達が遅延してしまうことが考えられる。評価項目として、TUGには歩行開始時、方向転換時、目的物へ近づく動作があり、歩行時の情報処理が大きくなり注意分配能力を測定できる評価であると考えたため実施した。結果は、TUG1分26秒であり、歩行開始時、方向転換時、目的物へ近づいた時にすくみ足が出現した。

【介入と結果】

本症例のすくみ足改善の介入方法として、二重課題を選択し、情報処理能力の向上を目的に実施した。介入内容として、介入期間2週間、平行棒内で足踏みをしながら計算問題を実施し、注意の分散下での動作訓練を施行した。先行研究では、パーキンソン病は、歩行時の障害物や目的物の直前などは注意が散漫となり異常歩行が出現しやすくなると報告されており二重課題を実施し、注意の分散下での動作の継続を促した所、結果に改善が見られたと報告されている。結果は、TUG49秒、歩行動作では、歩行開始時、方向転換時、目的物へ近づいた時にすくみ足が軽減し、下肢の振り出しが可能となっていた。大脳からの情報処理能力、注意の分散化の向上を認めたことで歩行開始時、方向転換時、目的物に近づいた時でのすくみ足の頻度TUGの改善を図ることが可能だったと考えられる。また、日中の移動動作においてもすくみ足の改善を認めたことで前方への転倒リスクが軽減したと考える。

【結論】

大脳からの情報処理能力、注意の分散化の向上を認めた。当施設での歩行時(歩行開始時、方向転換時、目的物へ近づいた際)にすくみ足の改善を認めたことで下肢の振り出しが容易となった。それにより前方への転倒リスクの軽減を図ることが可能であったと考える。

今後は、下肢・体幹の機能面、バランス機能などに着目して介入を実施していく必要性があると考える。

【倫理的配慮】

利用者様に説明を行い、同意を得た。

Please log in with your participant account.
» Participant Log In