[P-5-04] 胸髄の脊柱管内の硬膜外腫瘤による圧迫で不完全麻痺を生じた2症例の経験
【はじめに】T6レベルより高位の良性腫瘍と転移性腫瘍の各1症例による不全麻痺症例について報告する。
【症例紹介】症例1 80歳代女性。診断名:T6レベルの硬膜外右神経根に発症した神経鞘腫。現病歴:X-9日下肢脱力や異常感覚の増悪にて当院受診。X-7日術前リハ開始、X日椎弓切除術と腫瘍切除。X+1日術後リハ開始し、X+27日回復期リハ病院へ転院。
症例2 80歳代男性。診断名:尿管癌によるT4レベルの椎体と硬膜外転移性腫瘤。現病歴:X-19日下肢脱力自覚し入院。当日から緊急放射線治療開始。X-13日術前リハ開始、X-7日下肢筋力著明に低下。X日T2からT6後方固定術、腫瘍部分切除術。X+3日せん妄症状出現。X+4日誤嚥性肺炎発症。X+24日イレウス、再度誤嚥性肺炎発症。X+48日呼吸状態改善。X+54日療養型病院へ転院。
【評価とリーズニング】症例1 術前評価、BIは15、DTRはPTR正常、ATR減弱。ASIAは、運動スコア85、知覚スコア(触覚100、痛覚100)。MMTは腹筋群2レベル。深部知覚は正常。自律神経障害や膀胱直腸障害は認めず。
症例2 X-1日術前評価、PTR正常、ATR減弱。ASIAは、運動スコア67(上肢46、下肢21)、知覚スコアは(81、80)で、筋力と感覚ともに低下。MMTは腹筋群1レベル。深部感覚は、膝・足関節、足趾重度鈍麻から脱失。自律神経障害はないものの膀胱直腸障害(排尿、排便困難感)を認めた。
【介入と結果】症例1 X+2日ASIAは、運動スコア87、知覚スコアは(100、104)。足部への荷重を促すことで下肢筋力、感覚の改善を認め、X+13日伝い歩きが軽介助にて可能、X+25日には独歩にて数歩可能。X+26日最終評価ではBIは80、ASIAは、運動スコア92、知覚スコアは(112、112)と改善。MMTは腹筋群4レベルと改善。
症例2 X+1日ASIAは、運動スコア66(上肢46、下肢20)知覚スコアは(80、75)であった。BIは10、FIMは53であった。X+2日端座位練習を開始。X+3日せん妄と不眠症の薬剤治療で傾眠傾向となった。X-7日床上での下肢自動介助運動を開始、X+13日全介助にて車椅子移乗練習を実施。車椅子移乗時、起立性低血圧を認めた。X+49日車椅子移乗が全介助にて可能。最終評価ASIは、運動スコア50(上肢46、下肢4)、知覚スコアは(69、70)。MMTは腹筋群1レベル。BIは15、FIMは61で、BIは移乗、FIMは食事や更衣の項目で改善を認めた。膀胱直腸障害は改善した。
【結論】症例1のT6良性腫瘍例は練習により改善した。さらにADLを向上させる目的で回復期リハ病院へ転院した。ASIA機能障害スケールはDからDであった。
症例2のT4の転移性腫瘍例は硬膜外腫瘤が背側部にあり、筋力低下と深部知覚障害により運動機能の改善が得られなかった。またせん妄による薬剤処方により、覚醒の低い状態が続き練習が行えず、療養型病院へ転院した。ASIA機能障害スケールはCからCであった。
【倫理的配慮】本症例には発表の趣旨を説明し同意を得た。
【症例紹介】症例1 80歳代女性。診断名:T6レベルの硬膜外右神経根に発症した神経鞘腫。現病歴:X-9日下肢脱力や異常感覚の増悪にて当院受診。X-7日術前リハ開始、X日椎弓切除術と腫瘍切除。X+1日術後リハ開始し、X+27日回復期リハ病院へ転院。
症例2 80歳代男性。診断名:尿管癌によるT4レベルの椎体と硬膜外転移性腫瘤。現病歴:X-19日下肢脱力自覚し入院。当日から緊急放射線治療開始。X-13日術前リハ開始、X-7日下肢筋力著明に低下。X日T2からT6後方固定術、腫瘍部分切除術。X+3日せん妄症状出現。X+4日誤嚥性肺炎発症。X+24日イレウス、再度誤嚥性肺炎発症。X+48日呼吸状態改善。X+54日療養型病院へ転院。
【評価とリーズニング】症例1 術前評価、BIは15、DTRはPTR正常、ATR減弱。ASIAは、運動スコア85、知覚スコア(触覚100、痛覚100)。MMTは腹筋群2レベル。深部知覚は正常。自律神経障害や膀胱直腸障害は認めず。
症例2 X-1日術前評価、PTR正常、ATR減弱。ASIAは、運動スコア67(上肢46、下肢21)、知覚スコアは(81、80)で、筋力と感覚ともに低下。MMTは腹筋群1レベル。深部感覚は、膝・足関節、足趾重度鈍麻から脱失。自律神経障害はないものの膀胱直腸障害(排尿、排便困難感)を認めた。
【介入と結果】症例1 X+2日ASIAは、運動スコア87、知覚スコアは(100、104)。足部への荷重を促すことで下肢筋力、感覚の改善を認め、X+13日伝い歩きが軽介助にて可能、X+25日には独歩にて数歩可能。X+26日最終評価ではBIは80、ASIAは、運動スコア92、知覚スコアは(112、112)と改善。MMTは腹筋群4レベルと改善。
症例2 X+1日ASIAは、運動スコア66(上肢46、下肢20)知覚スコアは(80、75)であった。BIは10、FIMは53であった。X+2日端座位練習を開始。X+3日せん妄と不眠症の薬剤治療で傾眠傾向となった。X-7日床上での下肢自動介助運動を開始、X+13日全介助にて車椅子移乗練習を実施。車椅子移乗時、起立性低血圧を認めた。X+49日車椅子移乗が全介助にて可能。最終評価ASIは、運動スコア50(上肢46、下肢4)、知覚スコアは(69、70)。MMTは腹筋群1レベル。BIは15、FIMは61で、BIは移乗、FIMは食事や更衣の項目で改善を認めた。膀胱直腸障害は改善した。
【結論】症例1のT6良性腫瘍例は練習により改善した。さらにADLを向上させる目的で回復期リハ病院へ転院した。ASIA機能障害スケールはDからDであった。
症例2のT4の転移性腫瘍例は硬膜外腫瘤が背側部にあり、筋力低下と深部知覚障害により運動機能の改善が得られなかった。またせん妄による薬剤処方により、覚醒の低い状態が続き練習が行えず、療養型病院へ転院した。ASIA機能障害スケールはCからCであった。
【倫理的配慮】本症例には発表の趣旨を説明し同意を得た。
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