第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-6] P-6

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-6 (webポスター会場)

座長:向井 拓也(愛仁会リハビリテーション病院)

[P-6-01] 独歩の安定性・スピードの向上を目標とした左大腿骨転子部骨折術後の一症例

*田中 那実1、前田 智紀1、山田 賢一1、喜多 孝昭1、鈴木 俊明2 (1. 守口生野記念病院、2. 関西医療大学大学院)

【症例紹介】
 本症例は左大腿骨転子部骨折と診断された。70歳台の女性である。炎天下で作業中転倒により受傷した。救急搬送された。主訴は「しっかり歩けない」であり、ニードを「屋外独歩の安定性の向上、スピードの向上」とした。術後1日目から評価・介入を行った。
【評価とリーズニング】
本症例の独歩では、左立脚初期から中期に左側方へ不安定性が生じており、また、不安定であるため歩行スピードの低下(10m歩行スピードが13.1s)も影響を及ぼしていると考えた。不安定性が生じる要因として、左立脚初期から中期において、左足部の回内ができずに足部と下腿が同時に外側傾斜が生じ足部外側への負荷となり、さらに、左股関節外転に伴い体幹左傾斜することで左側方の不安定性が生じる。また、同時に十分な足関節背屈は見られないため、前足部に荷重できないことで、左立脚後期では左足関節背屈に伴う下腿前傾、左膝関節屈曲することで左股関節屈曲位となり、左股関節内旋により骨盤左回旋が生じると考えた。検査結果として、関節可動域は左股関節内転5°(術創部に伸張痛) 、左足関節背屈(左膝関節伸展位)5°であった。徒手筋力検査は、左足部外返し筋力2、左股関節外転筋力2を認めた。
【介入と結果】 
本症例の問題点を改善するために、左股関節外転筋力、左足部外返し筋力、左股関節内転可動域を改善する目的で、立位にて左足底を接地させたさせた状態で、骨盤左側方移動を促し、体幹が傾斜しないように実施した。また、左立脚初期から中期での左足関節背屈可動域(左膝関節伸展位)を改善するため、左下肢に体重移動した後に右下肢を前方へ振り出すステッピング訓練行い、その際に胸腰椎移行部が屈曲しないように実施した。その結果、左股関節内転可動域10°,左股関節外転筋筋力4,左足関節外返し筋筋力3,左股関節伸展筋筋力4,左膝関節伸展位での背屈可動域10°、左股関節外転筋力4、左足部外返し筋力3、左足関節背屈可動域(左膝関節伸展位)10°、10m歩行スピードは11.1sとなった。
【結論】
 今回,股関節と足部の関連性に着目して治療を行ったことにより、疾患そのものでは障害されていない部位が動作解釈の問題になることがあり、治療することで動作の改善が見られ重要性を学んだ。
【倫理的配慮、説明と同意】
 患者には本発表について説明のうえ同意を得た。本発表は当院倫理委員会にて承認を得た。

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