第33回大阪府理学療法学術大会

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Web Poster

[P-6] P-6

Sun. Jul 11, 2021 8:45 AM - 3:30 PM Web Poster:P-6 (webポスター会場)

座長:向井 拓也(愛仁会リハビリテーション病院)

[P-6-03] 早期歩行獲得ができた大腿骨頸部骨折術後の一症例 ~歩行動作に着目して~

*大島 良健1、秋房 寛輝1、玉村 悠介1 (1. わかくさ竜間リハビリテーション病院)

【症例紹介】80歳代前半男性,身長 158㎝,体重 49.8㎏,BMI 19.9㎏/ⅿ2.自転車乗車中に転倒し救急搬送され右大腿骨頸部骨折と診断.第7病日,人工骨頭置換術施行.第22病日,当院回復期リハビリテーション病棟に転院.既往歴は脂質異常症,高血圧症.病前はマンション2階で妻と二人暮らし.ADLは自立していた.

【評価とリーズニング】第25病日,ROM-T(右/左,度)は体幹屈曲20,伸展10,股関節屈曲90/120,伸展-5/0,外転15/30,膝関節伸展-5/0.MMT(右/左)は腸腰筋3/4,大殿筋3/3,中殿筋3/4,外旋筋3/4. 触診は腰背部,右外側広筋,右大腿筋膜張筋の過剰収縮を認める.FIM 58点,BI 70点.MMSE 27点.立位姿勢は胸椎後弯,骨盤後傾により体幹前傾位,股・膝関節屈曲位.歩行は独歩軽介助. 10m歩行 9.8秒,歩数 23歩,TUG 15.2秒.右股関節伸展が乏しく右立脚後期が短縮している.その後骨盤右後方回旋が生じる.全周期を通し上肢の振りが消失している.

【介入と結果】下肢に対し静的ストレッチ,関節可動域運動を実施.腰背部に対し動的ストレッチを実施.筋力増強運動は股関節周囲筋を10RMで実施.立位動作練習はバランス練習を実施.持久力運動は,目標心拍数110拍/分(運動負荷60%)の有酸素運動(屋外歩行・階段昇降)を実施.自主練習として自転車エルゴメーターを15分導入.第60病日,ROM-T(右/左,度)は体幹屈曲30,伸展20,股関節屈曲105/120,伸展5/5,外転30/40, 膝関節伸展0/0と可動域向上を認める.MMT(右/左)は腸腰筋4/4,大殿筋4/4,中殿筋4/4と筋力向上を認める.触診は腰背部,右外側広筋,右大腿筋膜張筋の筋緊張軽減を認める.FIM 123点,BI 100点. MMSE 27点.步行は独歩自立.10m歩行 7.5秒,歩数 20歩,TUG 10.8秒.右股関節伸展が向上し右立脚後期が延長し,蹴り出し動作が獲得された.上肢の振りが出現した.

【結論】静的ストレッチはⅠB抑制により筋緊張を低下させる効果があり,一方,動的ストレッチは相反抑制により筋弛緩をさせる効果があると言われている.静的,動的ストレッチにより股関節周囲の可動域向上,体幹・骨盤の可動性が向上した結果,体幹,下肢の筋力向上と歩行安定性の向上に繋がったと考える.本症例は80歳代であるも,受傷前は独歩でADLは自立しており,活動的であった.このことから歩行再獲得が可能であると考えられ,早期から積極的な介入を実施した結果,早期病棟内歩行を獲得出来,早期退院に至ったと考える.

【倫理的配慮,説明と同意】本症例に対して症例報告の旨を説明し,発表に際して同意を得た.

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