[P-8-01] 人工股関節置換術後、疼痛により実用性が低下した右変形性股関節症の一症例
【症例紹介】
本症例は右股関節疼痛増悪のため受診したところ,右変形性股関節症の診断された,60歳代の男性である.人工股関節置換術の手術目的で入院となった.主訴は「痛みなく歩けるようになりたい.」ニードを「屋外独歩の安定性・耐久性の向上」とした.術後1日目に評価・介入を行った.
【評価とリーズニング】
本症例の独歩では,右立脚中期において体幹右傾斜が生じることで不安定となり安定性低下が生じていた.また,右立脚中期から後期にかけて右大腿外側に疼痛を認め,6分間歩行で2分経過したころから疼痛(NRS6)があり,歩行持続困難であった.不安定性が生じる要因として,右立脚中期において右股関節外転による体幹右傾斜が生じることと考えた.仮説として,右股関節内転ROM制限,右股関節内転筋力低下,右股関節外転筋力低下を考えた.筋力検査を行ったところ,右股関節外転筋3で筋力低下を認めた.大腿部外側に疼痛が生じる要因として,右立脚中期から後期において腰椎前弯により骨盤前傾が見られなく,腰椎後弯に伴う骨盤後傾位であり右股関節屈曲と外転が過度に生じることと考えた。仮説として,右股関節伸展ROM制限,右股関節屈曲筋力低下,右股関節外転筋力低下,両多裂筋筋緊張低下,大殿筋上部線維筋緊張亢進を考えた.関節可動域検査を行ったところ右股関節伸展可動域−5°,筋力検査は,右股関節外転筋力3,筋緊張検査は,両多裂筋筋緊張低下,大殿筋上部線維筋緊張亢進を認めた.本来ならば,右立脚初期から中期にかけて右股関節内転による骨盤右側方移動,中期から後期にかけて右股関節伸展運動と,腰椎前弯による骨盤前傾が生じることで前方移動を可能とする.つまり右立脚初期から中期の運動が乏しいため,右下肢への荷重が不十分となり右股関節屈曲と外転が強まることで代償的に右大殿筋上部線維が過剰収縮することで痛みが生じていると考えた.そのため右立脚中期から後期の短縮につながっていると考えた.
【介入と結果】
立位にて,右股関節外転筋力訓練を実施し,右立脚初期から中期における右股関節内転による骨盤右側方移動訓練を実施した.右立脚中期から後期にかけて右股関節伸展可動域制限の改善,両多裂筋筋緊張低下を改善し,腰椎前弯による骨盤前傾を促し,右立脚中期から後期の運動を実施した.
その結果,右股関節外転筋力は4,右股関節伸展可動域は0°,両多裂筋、大殿筋上部線維は正常域となり,動作時痛NRSが1まで改善を認めた.
【結論】
今回,歩行動作観察より安定性の低下,耐久性の低下に着目して治療を行ったことにより,立脚初期から中期での股関節外転筋力低下に対しアプローチするだけでなく,立脚中期~後期で腰椎前弯による骨盤前傾のアライメントに修正することで筋活動に影響を及ぼす重要性を学んだ.
【倫理的配慮、説明と同意】
患者には本発表について説明のうえ同意を得た.
本症例は右股関節疼痛増悪のため受診したところ,右変形性股関節症の診断された,60歳代の男性である.人工股関節置換術の手術目的で入院となった.主訴は「痛みなく歩けるようになりたい.」ニードを「屋外独歩の安定性・耐久性の向上」とした.術後1日目に評価・介入を行った.
【評価とリーズニング】
本症例の独歩では,右立脚中期において体幹右傾斜が生じることで不安定となり安定性低下が生じていた.また,右立脚中期から後期にかけて右大腿外側に疼痛を認め,6分間歩行で2分経過したころから疼痛(NRS6)があり,歩行持続困難であった.不安定性が生じる要因として,右立脚中期において右股関節外転による体幹右傾斜が生じることと考えた.仮説として,右股関節内転ROM制限,右股関節内転筋力低下,右股関節外転筋力低下を考えた.筋力検査を行ったところ,右股関節外転筋3で筋力低下を認めた.大腿部外側に疼痛が生じる要因として,右立脚中期から後期において腰椎前弯により骨盤前傾が見られなく,腰椎後弯に伴う骨盤後傾位であり右股関節屈曲と外転が過度に生じることと考えた。仮説として,右股関節伸展ROM制限,右股関節屈曲筋力低下,右股関節外転筋力低下,両多裂筋筋緊張低下,大殿筋上部線維筋緊張亢進を考えた.関節可動域検査を行ったところ右股関節伸展可動域−5°,筋力検査は,右股関節外転筋力3,筋緊張検査は,両多裂筋筋緊張低下,大殿筋上部線維筋緊張亢進を認めた.本来ならば,右立脚初期から中期にかけて右股関節内転による骨盤右側方移動,中期から後期にかけて右股関節伸展運動と,腰椎前弯による骨盤前傾が生じることで前方移動を可能とする.つまり右立脚初期から中期の運動が乏しいため,右下肢への荷重が不十分となり右股関節屈曲と外転が強まることで代償的に右大殿筋上部線維が過剰収縮することで痛みが生じていると考えた.そのため右立脚中期から後期の短縮につながっていると考えた.
【介入と結果】
立位にて,右股関節外転筋力訓練を実施し,右立脚初期から中期における右股関節内転による骨盤右側方移動訓練を実施した.右立脚中期から後期にかけて右股関節伸展可動域制限の改善,両多裂筋筋緊張低下を改善し,腰椎前弯による骨盤前傾を促し,右立脚中期から後期の運動を実施した.
その結果,右股関節外転筋力は4,右股関節伸展可動域は0°,両多裂筋、大殿筋上部線維は正常域となり,動作時痛NRSが1まで改善を認めた.
【結論】
今回,歩行動作観察より安定性の低下,耐久性の低下に着目して治療を行ったことにより,立脚初期から中期での股関節外転筋力低下に対しアプローチするだけでなく,立脚中期~後期で腰椎前弯による骨盤前傾のアライメントに修正することで筋活動に影響を及ぼす重要性を学んだ.
【倫理的配慮、説明と同意】
患者には本発表について説明のうえ同意を得た.
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